膀胱がんで自排尿型代用膀胱に。問題点は?

回答者:島田 誠
昭和大学横浜市北部病院 泌尿器科教授
発行:2010年10月
更新:2013年12月

  

浸潤性の膀胱がんになり、根治的膀胱全摘術という手術を受けることになりました。この手術と同時に、自排尿型代用膀胱(スチューダー法)の手術もしてもらいます。自排尿型代用膀胱は尿管皮膚瘻や回腸導管と違って、ストーマ(排泄口)を付けなくてよく、自分の尿道から排尿できると主治医から聞いています。ただ一方で、腹圧を使って排尿しなければならず、その上、1日何回かは、自分で尿道の先からカテーテルを入れて、尿を排泄させなければならないなど、不便なこともあるといわれました。実際、大変なこと、面倒なことが多いのでしょうか。尿漏れは心配ないでしょうか。自排尿型代用膀胱には、すぐに慣れることができるでしょうか。

(高知県 男性 63歳)

A 慣れるまでは排尿トレーニングが必要。夜間の尿漏れなども

自排尿型代用膀胱には、スチューダー法とハウトマン法の2つの方法があります。細かな違いはありますがいずれも前立腺と膀胱を切除して、患者さんの小腸でつくった袋を尿道の端につなげて排尿する方法です。小腸でつくった袋が膀胱の役目を果たすわけです。

手術が終わってしばらくは、自分で排尿することがなかなかうまくできません。そのため、多くの場合、1カ月ほどはカテーテルを使って排尿することになります。

本来、排尿するときには、膀胱の利尿筋が収縮して、尿を押し出します。ところが新しくできた膀胱は、もともとは消化管であるため、いくら脳が排尿の指示を出しても、収縮しません。そのため、腹圧をかけて、尿を押し出すようにして、排尿することが必要になります。具体的には、前傾姿勢をとったり、おなかを手で押したりして排尿します。こうした、いわば排尿トレーニングを行うことで、1カ月くらいすると、多くの人は自分なりに排尿のコツをつかめるようになります。

尿漏れについてもご心配されていますが、スチューダー法の自排尿型代用膀胱では、2~3割の人に夜間の尿漏れが起こるといわれます。これを防ぐには、夜中に2~3回起きて、トイレに行けばよいとする考えもありますが、睡眠障害などの問題もあり、専門家の間でも意見は分かれます。

また、スチューダー法もハウトマン法も、1割ほどの人に尿閉(尿が出なくなること)が起こるといわれます。

尿が出にくくなることの原因の1つに、腸粘膜から分泌される粘液の影響もあります。この粘液が尿の流れを妨げることがあるのです。対策としては、水分を多めにとることなどが推奨されます。

また、尿管と代用膀胱である小腸をつないだ箇所から尿が腎臓に逆流することがあります。数は多くありませんが、これによって、腎機能が低下したり、腎盂炎を起こしたりすることがあります。

これも数は多くありませんが、電解質の異常をきたして、体が酸性に傾くことがあります。これに対しては、薬の服用などで対応できます。

女性の場合はさらにほかの問題もありますが、男性の場合は、以上が自排尿型代用膀胱の主な問題点です。

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