T1a、グレード3の膀胱がん。今後の治療法は?

回答者:赤倉 功一郎
東京厚生年金病院 泌尿器科部長
発行:2007年3月
更新:2013年12月

  

先月、膀胱がんと診断され、TUR-Bt(経尿道的膀胱腫瘍切除術)を受けました。検査の結果、T1a、グレード3と言われました。今後の治療として、「経過観察」「BCGの膀胱内注入療法」「膀胱全摘手術」の3つを提示され、選択に迷っています。より確実な方法を希望しています。その場合は、膀胱を全摘するのがもっともよいのでしょうか。アドバイスをお願いします。

(栃木県 男性 39歳)

A がんの数によって、治療の選択を

T1aは表在性のがんであることを表し、比較的浅いがんであるといえます。しかし、グレード3は、1、2、3とあるグレードの中でがんの浸潤傾向がもっとも強く、再発率が高いことを意味します。

「命が助かる可能性」を考えると、膀胱全摘がもっとも高いといえるでしょう。しかし、膀胱を切除するわけですから、QOL(生活の質)がかなり落ちてしまうことは避けられません。排尿するための尿路変更手術も必要になります(この手術は、病状などによって、いろいろな方法があります)。

当たり前のことですが、体にもっとも負担がかからないのは経過を観察することです。経過観察をして、治療をいっさいしないまま治癒に至ることもないわけではありません。ただし、先に申し上げたように、グレード3は再発率が高いのが現状です。その点は当然、認識しておく必要があると思います。

BCGの膀胱内注入療法には、一定の予防効果が期待できます。ただしBCGにも、排尿時の痛みや血尿などの副作用が見られることがあります。

以上、3つの選択肢の概略を説明しましたが、文面では腫瘍の状況がわからないところもあります。とくにがんが単発だったのか多発だったのか不明です。

仮に腫瘍が20~30個など多数認められた多発性のがんであった場合は、膀胱全摘を選択されてもよいかもしれません。逆に1個のがんがあって、それをきれいに切除できているのであれば、経過観察を選択されてよいと思います。その中間で、たとえば数個のがんが認められた場合などは、BCGを選択するのもよいと思います。

また、手術後の細胞診でがんが認められた場合は、少なくともBCGをお受けになったほうがよいでしょう。

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