膀胱がん手術後、回腸導管に穴。良い手立てはないか

回答者:赤倉 功一郎
東京厚生年金病院 泌尿器科部長
発行:2007年3月
更新:2013年12月

  

1年前、膀胱がんと診断され、膀胱と子宮、卵巣の全摘手術を受けました。回腸導管法により、ストーマ(尿の出口)を造設しました。その後、左右の足の付け根のリンパ節への転移が発覚しました。抗がん剤治療、放射線治療、温熱治療を受けた結果、腫瘍は左右ともに3センチほどの縮小が見られました。しかし、2カ月前に、右のリンパ節にできた腫瘍と回腸導管が癒着し、穴が開いてストーマに汚物が混入してしまいました。現在は食欲もなく、流動食に近い食事をしています。回腸導管に開いた穴をどうにかする良い手立てはないでしょうか。

(神奈川県 女性 53歳)

A 良性なら尿路変更のやり直し手術を

「右のリンパ節にできた腫瘍と回腸導管が癒着」しているということですが、その癒着が良性か、悪性かによって、お答えは大きく違ってきます。

まず前者、炎症による癒着などの良性の癒着である場合は、尿路変更をやり直す手術が考えられます。ご相談者がお受けになった回腸導管法も尿路変更術の1つですが、新たに別の尿路変更の手術をやり直すのです。

その場合の尿路変更術には、たとえば「尿管皮膚瘻造設術」があります。尿管皮膚瘻造設術によって、尿管を直接、腹部につなげて、皮膚から出して、その先に尿をためる袋を提げます。

あるいは「腎瘻造設術」という処置を行い、背中の皮膚から直接腎臓に穴を開け、チューブを通して、そこから排尿する方法もあります。ただし、腎瘻造設術を行うには、水腎症があることなどの条件があります。

悪性の場合とは、リンパ節に転移した腫瘍が回腸導管に浸潤して、その回腸導管に穴を開けてしまったような例です。

この場合は、病状が急激に悪化している可能性も考えられます。状況によっては、再手術は難しく、緩和ケアに主軸を置いた治療を行うことをお考えになったほうがよいかもしれません。

書面だけではわからないところもありますから、まずは病状について、主治医に今一度確認されることをおすすめします。

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