結核の既往歴あり。BCG注入療法はできるのか

回答者:赤倉 功一郎
東京厚生年金病院 泌尿器科部長
発行:2011年4月
更新:2013年12月

  

ステージ1の膀胱がんになり、膀胱の温存手術をすることになりました。再発予防のため、抗がん剤かBCGを膀胱に注入する治療が行われるかもしれないということです。BCGを注入するということは、結核菌を膀胱に入れるということだと思います。私は20代で結核になったことがありますが、この治療はできるのでしょうか。また、できる場合も普通の人よりひどい副作用が出ることはありませんか。一般的に、どんな副作用があるのかも含めて教えてください。

(宮城県 女性 67歳)

A ツベルクリン反応が強陽性ならBCG注入療法はしない

前提として、結核になったことがある人は膀胱がんになりにくいことから、BCG注入療法が生まれたという経緯があります。しかし、「なりにくい」のであって、「ならない」わけではなく、なかにはご相談者のように結核の既往歴がある患者さんもいます。

まず、活動性の結核の患者さん、つまり今、結核の治療中だったり、結核が進行している患者さんには、結核の病状が悪化する可能性があるのでBCG注入療法を行ってはいけません。

また、結核の既往歴がある患者さんに対しては慎重に投与することになっています。投与前にツベルクリン反応検査をして、2重発赤するなど強陽性の場合はBCG注入療法はやめたほうがよいでしょう。ちなみに、膀胱がんに対する治療法としてBCGが使われ始めたころは、すべての患者さんに対してツベルクリン反応検査が行われていました。しかし、今はすべての患者さんに行っている施設はあまりないと思います。

BCG注入療法の一般的な副作用として最も危険なのは、BCG菌が全身に飛ぶ「播種」が起こり、高熱が出てしまうことです。ごくまれにしか起こりませんが、万が一、39度以上発熱した場合には、ただちに病院へ連絡してください。

また、1番よく現れる副作用として、BCG注入療法を行った患者さんの半数程度に頻尿、排尿痛、血尿などが起こります。BCG注入療法とは、結核菌を体内に入れるわけで、強制的に膀胱炎を起こさせているような状態になるのです。ただ、どの程度の症状が出るかは患者さんによって違います。

手術後、血尿があるときや、尿道にカテーテルを入れたときに傷ができた場合は、血尿が止まり、傷が治るまではBCG注入療法は行わないことになっています。傷からBCG菌が体内に入り込み、全身に飛んでしまうからです。通常は術後最低2週間以上は間をあけます。実際は1カ月程度あけることが多いでしょう。

しかし、結核の既往歴があるからといって、これらの副作用の出方にあまり差はないと思われます。

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