勃起障害になるかも、という悩みを相談できない

回答者:赤倉 功一郎
東京厚生年金病院 泌尿器科部長
発行:2011年4月
更新:2013年12月

  

ステージ3の膀胱がんと診断され、膀胱を全摘手術することになりました。がんの告知以上にショックだったのは、勃起障害になるかもしれないと言われたことです。自分にはとても耐えられません。しかし、そんなことを言うのは恥ずかしいし、「がんになったというのに、何を言ってるのか」と言われそうで、主治医にも、家族や周りの誰にも本音を言えません。膀胱を全摘しても、勃起障害にならないようにすることはできませんか。

(奈良県 男性 51歳)

A 主治医には恥ずかしがらずに相談して

病状にもよりますが、もしも勃起神経温存手術が可能であれば、勃起障害は避けられるかもしれません。しかし、前立腺にまでがんが浸潤していたりして、前立腺もひろく切除しなければならない場合は勃起障害が起こります。

また、勃起神経温存手術をしたとしても、勃起神経を100パーセント保てるとは限りません。勃起障害は、網目状の構造になっている勃起神経が傷つくことによって起こります。

そこで、腓腹神経を移植して、勃起機能を回復させる手術を行っている病院があります。また、人工勃起器具(プロステーシス)を埋め込む手術を行う病院もあります。プロステーシスには、リジットタイプとポンプタイプの2種類があります。しかし、保険が適用できないので約100万円かかります。

ご相談者の方は、勃起障害について悩んでいることを恥ずかしがっておられますね。ご家族と一緒に手術の説明を受けるときに、奥様や娘さん、看護師などが同席していると、恥ずかしくてなかなか本音を話せないという患者さんは確かに多くいらっしゃいます。

しかし、主治医に対して恥ずかしがることはまったくありません。勃起機能回復の手術は、入院後、膀胱がんの手術直前でも対応可能です。主治医と2人だけになれる機会を待って、正直に相談してみてください。

腓腹神経=下腿(ひざから足首までの部分)を走っている末梢神経の1つ

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