骨髄移植を受けた後、TMAの可能性があると言われたが…

回答者:秋山 秀樹
東京都立駒込病院 血液内科医長
発行:2006年1月
更新:2013年12月

  

急性骨髄性白血病と診断されていた弟(53歳)が先月、一座不一致で同種骨髄移植を受けました。しかし、移植後から高熱が続いており、主治医からGVHD(移植片対宿主病)が起こっていると言われました。さらに、TMAの疑いもあると言われましたが、この言葉は初めて耳にしました。TMAとはどのような疾患なのでしょうか。今は解熱剤を使っていますが、相変わらず38度以上の熱が続いています。TMAだとしたら、どんな対処法があるのでしょうか。

(東京都 男性 56歳)

A 血管が詰まるなどして、亡くなることも。治療法は定まっていない

TMAは「血栓性微小血管病変」「血栓性微小血管症」「微小血栓血管症」などといわれます。血液が流れている微小の血管に障害が起きて、そこで血液が固まったり、血管が詰まったり、溶血したりします。血管が詰まると臓器は虚血になり、機能が障害を受け、さらには細胞が壊死することもあります。消化管から出血したり、多臓器不全を起こしたりして、亡くなるケースもあります。

TMAは、独自に発症することもありますし、がん、とくに転移があって起こることもあります。また、造血幹細胞を移植した後に起こることもあります。

造血幹細胞の移植後に起こるTMAは、独立した合併症であるとする見解と、急性のGVHDの1症状とする見解とに分かれ、専門家の間で議論されています。

対処法も見解が分かれます。TMAを独自の合併症とする研究グループは、シクロスポリンやタクロリムス水和物といった免疫抑制剤を減量ないしは中止し、ステロイドを使わないことを勧めます。

一方、TMAを急性のGVHDの1症状と考えると、この治療法はまったく逆効果になります。というのも、GVHDの治療には、免疫抑制剤やステロイドが必須だからです。免疫抑制剤やステロイドを減量ないし中止することはGVHDを悪化させ、命に関わることにもなりかねません。

専門家の間でも見解の分かれる問題なだけに、確としたお答えはできません。主治医と今1度しっかり話し合い、納得された治療をお受けになって下さい。

虚血=臓器や組織に流入する血液の量が減少、途絶する状態

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