悪性リンパ腫で治療中の夫にアドバイスを

回答者●塚田信弘
日本赤十字社医療センター血液内科副部長
発行:2020年8月
更新:2020年8月

  

46歳の夫がびまん性大細胞性型B細胞リンパ腫(DLBCL)と診断されました。現在は大学病院に入院して抗がん薬治療中ですが、口内炎がひどくあまり食事がとれないようです。腎臓にも腫瘍があり、透析になるかもしれないとのことで、本人は、ひどく落ち込んでいます。

家族としては前向きに治療をがんばって欲しいと思っているのですが、口をついて出る言葉は、何で自分だけがこんな病気になっただとか、そんな言葉ばかりで、どう接していいのか困っています。

支えられるのは私しかいないので、本人が一番大変なんだと自分に言い聞かせていますが、今回の新型コロナウイルス感染症の影響もあり、面会も血液内科はとくに厳しいようで、あまり面会もできません。どう接すれば、夫が前向きに治療に取り組んでくれるか、アドバイスをお願いします。

(46歳 女性 石川県)

早い段階で自家移植を行うことで治癒が期待できる場合も

日本赤十字社医療センター
血液内科副部長の塚田さん

46歳という若さで、悪性リンパ腫という診断を受けたご主人および奥様の心中をお察し致します。2000年代前半からリツキサン(一般名リツキシマブ)というモノクローナル抗体が登場してから、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療成績は劇的に改善し、高い確率で治癒が期待できるようになりました。

しかし、一方で診断時の病期や、リンパ腫そのものの染色体の異常、遺伝子の異常のパターンによっては、標準治療であるR-CHOP療法が効きにくい方もおられます。このような患者さんに対しても治療レジメンを変更したり、早い段階で自家移植を行うことで治癒が期待できる場合もあります。自家移植後に再発してしまった場合には、同種移植が検討されます。

ご主人も新型コロナウイルス感染症流行の影響ために、ご家族との面会が制限されて、精神的に不安定なのではないかと思います。ご主人のお気持ちを傾聴し、また担当医とも情報交換をしながら精神的なサポートを続けてあげて下さい。

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