悪性リンパ腫の疑いで経過観察中、治療しなくて大丈夫か
昨年(2023年)11月、頸部のリンパ節が腫れ、総合病院で悪性リンパ腫の疑いがあると診断されました。PET-CT検査の結果、左頸部と鎖骨下のリンパ節に腫瘍が確認されましたが、「生検を行うには十分な大きさではない」と言われ、経過観察になりました。治療を受けなくて大丈夫なのでしょうか。12年前から慢性関節リウマチを患っており、免疫抑制薬のメトトレキサートなどによる治療を受けていましたが、リンパ節腫脹を受け中止しています。
(71歳 男性 群馬県)
A 早期の治療が必要とは限らない場合も
日本赤十字社医療センター
血液内科副部長の塚田さん
血液内科副部長の塚田さん
まず最初に、悪性リンパ腫の診断には生検が必要です。しかし、リンパ節の大きさやPET-CTを行った際の検査薬としてRI(放射性同位元素)をつけたブドウ糖の類似物質FDG(フルオロデオキシグルコース:注射する薬剤)の集積の度合いによっては、生検を行わずに経過をみることもあります。
それからメソトレキセート(商品名:MTX)による治療中に、リンパ増殖性疾患を併発することがあります。この診断の確定にも生検が必要ですが、MTX関連のリンパ増殖性疾患はMTXの中止だけで軽快することがあります。おそらくMTXを中止してもリンパ節が大きくなるようであれば、生検を行うことになると思います。
悪性リンパ腫は、病型によって進行が緩徐なものや、MTX関連リンパ増殖性疾患のように自然に軽快するものもあることから、必ずしも早期の治療が必要とは限らないので、主治医とよく相談されるのがよいでしょう。