肋骨に早期のユーイング肉腫。治癒の可能性は?
大学1年生の19歳です。ユーイング肉腫と診断されました。肉腫の場所は右側の第8肋骨で、約4センチのものが1つです。転移はありません。治療は約1年間かかること、抗がん剤治療→手術→抗がん剤治療の順で治療を行うこと、治療はかなりきつくなること、抗がん剤の濃度は高く、副作用が強いことなどの説明を受けています。早期なので、治る可能性は高いと主治医に言われましたが、インターネット上では「ユーイング肉腫の5年生存率は50パーセント以上」と書かれているものもあります。もしかして25歳までも生きられないのかと、とても不安です。仮に治っても、副作用の影響で障害が出ないかと、やはり不安です。
(福岡県 19歳 男性)
A 治療をきちんと受ければ半分以上は治癒できる
ユーイング肉腫の治療は、抗がん剤→手術→抗がん剤の順で行うことが確立されています。
軟部肉腫の治療では、手術が最も重要であるのに対し、ユーイング肉腫では、抗がん剤治療がより重要な役割を果たします。手術をすると障害が大きくなる場合は、手術のかわりに放射線治療が行われることもあります。ご相談者の場合は、肋骨を1本切除すればよいでしょうから、現在、提案されている治療でよいと思います。
ユーイング肉腫の抗がん剤治療は、オンコビン(一般名ビンクリスチン)、アドリアシン(一般名ドキソルビシン)、エンドキサン(一般名シクロホスファミド)、イホマイド(一般名イホスファミド)、ラステットまたはベプシド(一般名エトポシド)の5剤(全て商品名)によって行われます。
副作用には、抗がん剤の使用中に起こる急性の障害と、治療が終わってしばらくして起こる晩期障害があります。とくに問題になるのは晩期障害で、主なものは次のとおりです。
・オンコビン…末梢神経障害(手足のしびれ)
・アドリアシン…心臓障害
・エンドキサン…腎障害
・イホマイド…腎障害、男性不妊
・ラステットまたはベプシド……2次がん
これらはすべて起こるわけではなく、また、これ以外の障害(副作用)が起こることもあります。
転移のないユーイング肉腫の5年生存率は、データ上では60~70パーセントです。厳しい病気ですが、過半数の方は治療をきちんと受けることにより治癒できます。とくに抗がん剤治療については、注意事項をしっかり聞いて、納得された上で治療に臨んでください。