軟部腫瘍の診断。再発を予防する治療法はないか

回答者:川井 章
国立がん研究センター中央病院 整形外科医師
発行:2009年7月
更新:2013年11月

  

軟部腫瘍の後腹膜平滑筋肉腫と診断されました。開腹手術をしたところ、骨盤内に多数の腫瘍が見つかりました。ステージ(病期)3のようです。最も気になるのは、再発です。再発を予防する有効な治療法はありませんか。

(島根県 女性 42歳)

A 再発予防のために術後化学療法を考えてもよい

手術ですべての腫瘍を完全に切除できていたとしたら、根治の可能性も高くなると思います。

手術後、再発予防のために術後化学療法を考えてもよいかと思います。アドリアシンや、イホマイドの単剤もしくは併用療法を行います。ただし、これらの化学療法は、残念ですが、平滑筋肉腫に対する効果はあまり高くないといわれています。そこで、最近では、術後化学療法として、ジェムザール(一般名ゲムシタビン)とタキソテール(一般名ドセタキセル)の併用療法も用いられています。

一方、手術中に、腫瘍を完全に取り除くことができず、肉眼的に腫瘍が残っていたとしたら、そのままで治癒までもっていくことは難しいと考えざるを得ません。手術的に取りきれない場合には、放射線療法を行うことも1つの選択肢ですが、腸などへの放射線による副作用のため十分な照射を行うことはしばしば困難です。

局所再発したときはアドリアシン、イホマイド、ジェムザール、タキソテールなどの抗がん剤を用いながら、腫瘍の増大を抑える治療を続けます。相談者は若いですから、これらの化学療法は十分に受けられる体力があると思います。

新しい薬も登場しています。現在、日本を含む全世界で血管新生を阻害する働きを持つ分子標的薬パゾパニブ(一般名)の臨床試験が軟部肉腫に対して行われています。また、さらに別の分子標的薬の試験も計画されています。

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