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閉経の兆し ホルモン療法の変更は?

回答者・上野貴史
板橋中央病院 外科医師
発行:2013年12月
更新:2014年6月

  

51歳の母がノルバデックス治療4年目です。閉経の兆しがあるのですが、閉経になったら、主治医から薬をアロマターゼ阻害薬に変更すると聞いています。母はどっちかというと生理不順の傾向があって、以前、閉経の兆しかと思ったら、そうでなかったことがありました。薬を変更するタイミングはどうやって決めるのでしょうか?これを間違うと再発に対して悪い影響はないのか心配です。

(27歳 女性 福井県)

月経の有無ではなく生化学検査が目安

板橋中央病院外科医師の上野貴史さん

閉経の定義は、最終月経から1年以上月経がない状態が継続しており、さらに血液検査でエストロゲンおよび卵胞刺激ホルモンのレベルが閉経状態になっていることです。閉経の兆しがあるだけでは閉経といえません。またアロマターゼ阻害薬は、卵巣を刺激する作用があり、服用により月経が復活することがあるので、ノルバデックスから変更する場合、最低限前記の定義をみたしてから切り替えます。

ホルモン感受性のある閉経後乳がん患者さんに対するホルモン療法で、これまで次のようなことがわかっています。

❶ノルバデックスを5年使うよりアロマターゼ阻害薬(アリミデックス、フェマーラ)を5年使う方が治療成績は良い(乳がん再発率がより下がるが生存率は同等)

❷ノルバデックス治療を5年継続するよりもノルバデックス治療2~3年の後にアロマターゼ阻害薬(アロマシン、アリミデックス)を2~3年使う方が治療成績は良い

❸ノルバデックス治療を5年間行った後、さらにアロマターゼ阻害薬(フェマーラ、アロマシン、アリミデックス)治療を5年行うと、ノルバデックス 5年のみの治療より成績は良い。その中でもとくにノルバデックス開始時に閉経前で、閉経後にアロマターゼ 5年投与した例での効果が著しいことが近年判明した。

このような知見から、最近はホルモン感受性のある閉経期前後の乳がん患者さんには、ノルバデックス治療を2~3年やった後、完全に閉経してからアロマターゼ阻害薬に切り替えて2~3年治療をするようなってきています。ですがお母様はすでにノルバデックス治療4年目ですので、ここでアロマターゼ阻害薬に切り替えるのではなく、1年継続してアロマターゼ阻害薬に切り替えるという選択肢が有力かと思います。

以上のことを念頭に置き、もう一度主治医とよく話し合って治療方針を決められるとよいでしょう。

ノルバデックス=一般名タモキシフェン フェマーラ=一般名レトロゾール アリミデックス=一般名アナストロゾール アロマシン=エキセメスタン

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