HPV検査は+、細胞診はクラス2。子宮頸がんの心配はないか

回答者:宮城 悦子
横浜市立大学 医学部産婦人科准教授
発行:2007年6月
更新:2013年12月

  

先日、総合病院の婦人科で子宮がん検診を受けました。受けた検査は、HPV(ヒトパピローマウイルス)検査と細胞診です。結果は、HPV検査は+(プラス)、細胞診はクラス2でした。「1年後にもう1度検査を受けてください。今のところ、治療は必要ありません」と医師に言われましたが、HPVと子宮頸がんの関係について雑誌で読んだことがあり、特にHPV検査の+が気になっています。子宮頸がんの心配はないのでしょうか。

(愛媛県 女性 32歳)

A 当面、子宮頸がんになる心配はない

子宮頸がんの原因は、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスです。HPVはイボをつくるウイルスの仲間で、約100種類あり、そのうちの10数種類のタイプ(高リスク型HPV)が子宮頸がんの原因になると考えられています。

子宮頸がんの原因になるタイプのHPVは、性行為によって感染します。性交渉の経験がある女性の50パーセント以上は少なくとも1度はHPVに感染したことがあり、10~30パーセントは膣の中に常在ウイルスとして持っていると言われます。

しかし、「HPV感染=子宮頸がん」というわけではありません。たとえ高リスク型のHPVに感染したとしても、およそ90パーセントはその人に備わっている免疫力によって自然に排除され、残りの10パーセント前後はHPVが自然消失せずに、感染が持続します。子宮頸がんになるのは、この10パーセント前後のさらにごく一部(感染者の1パーセント以下)です。

子宮頸がんが発症するには、HPVに感染してから平均10年以上かかるといわれますが、急激に進行するケースもあります。

一方の細胞診の結果は、クラス1~5に分類されます。ご相談者のクラス2は「異常な細胞を認めるが、良性」という状態です。ちなみに、クラス1は「正常」、クラス5は「浸潤がんを想定」と分類されるように、数字が大きくなるほどがんである可能性が大きくなることを意味します。

HPV検査の結果が-(マイナス)で、細胞診の結果がクラス1か2であれば、当面は子宮がんになる可能性はほとんどないと考えてよいでしょう。

HPV検査の結果が+(プラス)で、細胞診の結果が1か2である場合は、通常は6カ月後から12カ月後に再検査を受けることが望ましいといわれています。

ご相談者はこのケースに該当し、医師に1年後に再検査を受けるように言われたのは妥当だと思います。 ただ、ご心配な場合は、HPV-DNA検査(詳しくはこちらの記事参照)を受けてみるとよいかもしれません。この検査をすることで、感染したHPVが高リスク型か低リスク型か判定でき、それに応じて適切な対処ができるようになります。ただし、HPV-DNA検査は保険は適用にならず、自費(1万2000円ぐらい)になります。

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