急性リンパ性白血病が再発。治療法は?

回答者:牧本 敦
国立がん研究センター中央病院 小児科医長
発行:2008年1月
更新:2013年12月

  

8歳の息子のことでご相談します。息子は4歳になってまもなく、急性リンパ性白血病になり、1年半、化学療法を受けました。治療は終わり、寛解に至ったのですが、半月前に再発が判明しました。今後は再び化学療法を受ける予定ですが、骨髄移植を受けなくても大丈夫なのでしょうか。

(茨城県 女性 35歳)

A 骨髄移植は副作用が強い。化学療法で対応可能なら化学療法を

小児白血病は、再発した時期によって、治りやすさ(逆にいえば、治りにくさ)が違います。一般的には、治療を終えて再発するまでの期間が長いほうが治る可能性が高くなります。

この方は、5歳半のときに治療を終えたようですから、治療を終えてから約2年半後に再発しています。とすると、がんは比較的ゆっくり進んでいると思います。その場合、必ずしも骨髄移植を行う必要はないと考えます。

小児白血病に使用される抗がん剤はプレドニン(一般名プレドニゾロン)などのステロイド製剤に加え、オンコビン(一般名ビンクリスチン)、ロイナーゼ(一般名L-アスパラギナーゼ)の3剤が基本です。

再発したということなので、今後の化学療法は、さらにこれらにダウノマイシン(一般名ダウノルビシン)やエンドキサン(一般名シクロホスファミド)など1~2剤加えることになると思います。再度、化学療法を行うことは、重い副作用の危険性もありますが、70パーセント以上は再び寛解に至ることが期待できるでしょう。

しかし、寛解になり、正常の血液細胞が回復しても、体内には白血病細胞が残っています。そのため、治癒させるためには、さらなる治療が必要です。寛解に入った後、化学療法による維持・強化療法を行うか、どこかの時点で骨髄移植を行うかを決断しないといけません。

兄弟など、よいドナーがいれば、移植はいつでもできますし、移植をすると、再発率は化学療法を行ったときよりも下がります。

ただし、移植を行う前には、大量の抗がん剤を投与したり、全身に放射線を照射したりします。放射線を使えば、低身長などの成長障害は避けられません。また、抗がん剤の蓄積による不整脈や心臓の収縮障害なども起こりえます。さらに怖いのは、移植をすることで重い合併症が起こり、亡くなってしまうケースがあることです。

骨髄移植の副作用は化学療法に比べ、ずっと大きく現れます。ですから、主治医の先生と相談をして、化学療法でうまく治療を進められるのなら、そうしたほうがよいと思います。骨髄移植は、化学療法で対応できなくなったときにお考えになるとよいでしょう。

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