脳腫瘍が再発。ペプチドワクチンの効果は?

回答者:牧本 敦
国立がん研究センター中央病院 小児腫瘍科科長
発行:2013年2月
更新:2013年12月

  

15歳の息子の脳腫瘍が再発し、薬物治療はあまり効果が出なくなっています。最近、マスコミなどで、ペプチドワクチンによる免疫療法のことが言われていますが、小児の治療に有望な免疫療法というのはないのでしょうか。臨床試験などでも参加できそうなものがあれば試したいと思います。

(神奈川県 男性 45歳)

A ワクチンよりまずは薬物療法を

がんのワクチン療法というと、これまではいわゆるどの細胞の免疫力も高めるという、あまり根拠のない、効果が期待できないものでした。

最近マスコミに取り上げられるようになったペプチドワクチン療法というのは、がん細胞がもつ特定のタンパクに特異的に効果を発揮するワクチン療法です。

残念なことに、小児の脳腫瘍に特異的に働きかけるという種類のワクチンは今のところまだ開発されていません。小児がんに関係する免疫療法としては、WT1やグリピカン3という特異的なペプチドに働きかけるワクチンの臨床試験が行われています。

つまり、これらの特異的なペプチドが発現しているタイプの脳腫瘍ならば、それらのワクチン療法が有効な可能性があり、国内でもそのようなタイプの小児の脳腫瘍について、ワクチン療法の臨床試験を行っている施設もあります。

ただし、実際にはフェーズⅠ相当の早期の臨床試験です。そもそも臨床試験というのは有効性を保証するものではなく、前述の臨床試験もすでに治療選択肢がない状態の患者さんを対象とした治験です。

お子さんは脳腫瘍とのことですが、脳腫瘍のタイプによっては、いくつか有効な薬剤がある場合もあるので、まずはその薬剤を使うほうが妥当です。そのあたりのことを主治医に相談なさるのがいいでしょう。

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