脳腫瘍で手術。子どもにどう説明するか?

回答者:牧本 敦
国立がん研究センター中央病院 小児腫瘍科科長
発行:2012年6月
更新:2013年12月

  

9歳の息子が大脳にグリオーマ(神経膠腫)の腫瘍があると診断されました。手術が必要と言われています。子どもにはどう説得したらいいでしょうか。

(大阪府 女性 38歳)

A 手術によって起こる結果を具体的に話す

「手術が成功したら病気が治る」など、手術をすると結果としてどのようなことが起こるかを具体的にわかりやすく説明することが大切です。もし現時点で、例えば、麻痺が生じて手足が動きにくいなど腫瘍による症状が出ているならば、手術によってその「動きにくさ」が治って、2度と同じ症状が出なくなることを知らせます。同時に、今出ている症状を手術で治せたとしても、もしかしたら合併症(後遺症)が残るかもしれないことは、話しておく必要があります。

手術を怖がらせないために、合併症については伏せておきたいという親心もあるかもしれません。ですが、例えば手がしびれるなどの合併症が起きてしまったら、9歳ならば、それが手術によって起こったものかどうかはわかります。

隠したままで手術に臨み、万一合併症が起こってしまった場合には、お子さんのトラウマになってしまう可能性もあります。かといって、事細かに伝えすぎては、不安をあおってしまいます。

基本的に、子どもが体の変化として自分で気づく合併症で、頻度の高いものについて簡単に話しておくとよいでしょう。

子どもへの説明では、前向きに治療に臨めることが1つの目的ですから、例えば病気が治るなど、「起こる可能性の高いプラスの内容」を伝えることが大前提です。そのうえで治療中の様子について、子どもが目に見えたり、体験するような、具体的な事柄を中心に話します。

頭のどこに傷ができるのか、1度髪の毛を剃るがまた生えてくること、麻酔をするので痛くないこと、何日ぐらいお泊りをして、いつ家に帰れるかなど、知りたいことに焦点を当てます。頭蓋骨をどう切るのかなど、麻酔下で本人は自覚しない術中の様子を、伝える必要はあまりありません。

手術についての説明は家族の同席のもと、主治医から行い、後でお家の方が補足をします。医師を怖がるなど、主治医からの説明が難しいようでしたら、看護師などの医療者からの説明でもかまいませんが、9歳でしたら、説明の内容に後々誤解が生じないよう、医療者から説明することが大切です。説明は何度も時間をかけて行います。

説明にあたっては、子どもの心理がよくわかる小児精神科医や臨床心理士などの専門家が同席し、子どもの精神面のフォローアップをすることもあります。医療施設にもよりますが、親御さんのほうからそのような要望を出してもよいでしょう。

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