肉腫が再発。臨床試験のメリット・デメリットは?

回答者:牧本 敦
国立がん研究センター中央病院 小児腫瘍科科長
発行:2012年6月
更新:2013年12月

  

10歳で横紋筋肉腫の治療を受けて1年が経ったところで、再発しました。できるだけ効果の高い治療を受けさせたいと思っています。ネットで調べたところ、ハイカムチンという薬剤の臨床試験があると知りました。臨床試験での治療について、メリット・デメリットについて教えてください。

(東京都 女性 42歳)

A 条件に合うかや、効果と負担について主治医に相談を

ハイカムチンは日本では保険適応がないため、通常の診療では使われていません。海外では、エンドキサンとの組み合わせで、一定の有効性がみられています。これまで、エンドキサンの代わりにイホマイドを組み合わせた治療で、同等またはそれ以上の効果があるのかを確かめるための試験が行われています。

横紋筋肉腫への治療の場合、エンドキサンを併用したハイカムチン療法での奏効率は約40%。通常、再発治療では、30%の奏効率があれば、よく効く治療とされます。保険の問題により現在、通常の診療では使われていませんが、有効な薬剤の治療ができるという点は、臨床試験を受けるメリットといえるでしょう。

デメリットを挙げるならば、臨床試験では精度の高い治療データを収集するため、通常の治療中よりも受けなくてはならない検査が多いことです。採血やCT検査を嫌がるお子さんにとっては負担が増すので、保険適応のもので同じぐらい効きそうな治療があるのならば、そちらを選択するほうがよい場合もあります。

臨床試験には、疾患、治療歴、症状について、適格条件があります。それに当てはまるかどうかや、治療効果、メリット、デメリットについて、主治医と相談されたらいかがでしょう。

ハイカムチン=一般名ノギテカン エンドキサン=一般名シクロホスファミド イホマイド=一般名イホスファミド

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