歯周病と歯肉がんとの見分け方は?
5年ほど前、犬歯の歯茎の部分の異常に気づきました。歯磨き時に数日続けて出血したので、触るとブヨブヨした感じで、かかり付けの歯科へ行きました。「歯周病でしょう」ということで、歯石を取ったり薬を塗ったりして、教わった日常のケアをしたらすぐに出血は止まりました。2年前と2カ月前にも同じ経過があって、少し心配になり、調べると歯肉がんというがんがあるとか。どんな症状ですか。受診するならどの診療科へ行けばよいですか?
(香川県 女性 45歳)
A 歯肉炎治療の反応が有力な手掛かりに
東京医科歯科大学
頭頸部外科教授の岸本誠司さん
頭頸部外科教授の岸本誠司さん
歯肉がんとは歯茎にできるがんのことで、臼歯の歯茎に発生することが多く、下顎の歯茎に発生したがんが上顎の歯茎に発生したがんに比べて、骨へ浸潤したり、首などの周囲のリンパ節に転移したりしやすいと言われています。原因は機械的な刺激やタバコなどの繰り返しの刺激が有力視されています。このがんには特有の症状というものはなく、確かに歯周病と間違われることが多いようです。歯肉がんで、重度の歯周病と間違って抜歯されたというケースもありました。
両者の見分け方ですが、歯周病は治療をすれば多くは症状が軽減しますが、歯肉がんでは歯周病やその他の歯肉の炎症に対する治療をしても一切反応せず、徐々に悪化していくということです。
ただし歯肉がんと歯周病を併発している場合もあり、このような場合、歯周病の治療が奏効したように見えることがあるので要注意です。最終的には、組織を採取して顕微鏡で検査する生検が決め手となります。ご心配であれば、耳鼻咽喉科、頭頸部外科、歯科口腔外科などで調べてもらうほうが良いでしょう。