繰り返す口内炎。がんの原因になる?

回答者●岸本誠司
東京医科歯科大学頭頸部外科教授
発行:2013年11月
更新:2019年9月

  

右頬の裏側の同じ個所で何度も口内炎を繰り返しています。18歳のときに奥歯(臼歯)の虫歯を治療したのですが、そこが劣化して当たっているようです。「家族ががんになる」と脅かすのですが、本当にそんなことががんの原因になるのですか。また自己チェック法を教えて下さい。

(山梨県 男性 33歳)

悪化する一方なら要注意

東京医科歯科大学
頭頸部外科教授の岸本誠司さん

入れ歯が合わないなどの理由で、ずっと同じ箇所で炎症を繰り返していると、確かにがんのリスクは高くなると言われています。虫歯の治療跡の劣化もこのような機械的な刺激に属します。炎症を起こした細胞が再生する過程で遺伝子のコピーミスが起こり、がん化するというのががん発生のメカニズムとして定説となっています。

口腔がんの他の原因として、よく言われるのがタバコです。多量の酒の常飲もそうですが、これらも口腔内に繰り返し刺激を与えることになり、同様にがんのリスクになるとされています。それらが複合する人では、口腔がんのリスクは高まるとされています。

ご質問に対する答えですが、まず口内炎の原因と思われる歯の治療をしてみて、その後の経過を見て下さい。一向に炎症が退かず、痛みも退かないということであれば、他の原因があるかと思われます。そこからいろんな原因を想定して検査をしたり、経過を見たりして、原因を突き止め、治療をするという手順になります。

口腔がんの自己チェック法としては、口内炎が10日以上続くかどうかを見る、続くようであれば鏡で炎症の起こっている場所を見て白っぽい斑点またはまだら状の模様がないか見る、次に触れてみてざらざらしたり盛り上がったりしていないかを見る、という手順になります。

多くの口内炎は経験されてわかると思いますが、自然に治癒します。治りにくい口内炎には要注意が必要で、10日~2週間以上、治癒せず飲食や発語に影響するようであれば、耳鼻咽喉科や頭頸部外科、歯科口腔外科に行くことをお勧めします。

口の中を見て白い模様があれば白板症が疑われます。通常は盛り上がったり硬くなったりしません。この白板症はがんではなく良性のものですが、前がん病変といわれ、10数%でがんに変わる可能性があると推定されています。

その場合、触れてみるとざらっとした感触がありでこぼこで硬く、こすると出血してきます。

さらに潰瘍などが重なっているときは痛みがあります。好発するのは舌の縁や頬粘膜などですが、機械的な刺激、化学的刺激、喫煙、ビタミンA欠乏なども原因となるという説もあります。必ずしもがんの前駆症状とは限らないのですが、症状が長引くようであれば、専門の医療機関で検査すべきです。

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