進行性唾液腺がん。今後の治療方法は?

回答者:林 隆一
国立がん研究センター東病院 副院長・頭頸部外科科長
発行:2013年5月
更新:2013年11月

  

Ⅱ期の腺様嚢胞がんと診断され、左耳下腺を全摘出しました。しかし、3カ月後に局所再発が見つかりました。今後の治療法を教えてください。

(兵庫県 男性 54歳)

A 原則として外科治療を考慮する

唾液腺は、耳下腺、顎下腺、舌下腺といった大唾液腺という大きなものから、咽喉や口に多くある小唾液腺という小さなものまであります。唾液腺がんは耳下腺に発症するものが多く、手術可能であれば外科的切除が第1選択となります。

手術の術式は、がんの広がりや浸潤の程度によって決まります。耳下腺内には、目を閉じる、口唇を動かす、頬を動かすといった顔の筋肉に関係した顔面神経が走っています。

とくに腺様嚢胞がんの場合、がん細胞は顔面神経に沿って広がります。そのため、顔面神経麻痺がなくても、がんが癒着している場合は顔面神経の切除が必要となることがあります。顔面神経の切除後は可能であれば顔面神経の移植手術を行います。

手術不能の腺様嚢胞がんの場合、現在、有効な化学療法はありませんが、一般の切除不能の頭頸部扁平上皮がんに準じた化学放射線治療が基準となります。

レジメンとしては、シスプラチン+5-FUのPF療法、タキソテール+PF療法のTPF療法がありますが、有効性は明らかでなく、副作用と効果について担当の先生とよく相談してから行うのがよいでしょう。

シスプラチン=商品名ブリプラチン/ランダ 5-FU=一般名フルオロウラシル タキソテール=一般名ドセタキセル

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