分子標的薬は使えるか?

回答者:岸本 誠司
東京医科歯科大学 頭頸部外科教授
発行:2013年6月
更新:2013年11月

  

kishimoto

舌がんのステージⅣaです。手術のあとに抗がん薬治療を続けていますが、頭頸部のがんにも分子標的薬が使えるようになったと知りました。少しでも可能性のあるものにすがりたい気持ちです。私にも適応されるでしょうか?

(神奈川県 女性 40歳)

A 再発したときには使える

2012年の末に、日本では大腸がん治療薬として承認されていた分子標的薬のアービタックスが、頭頸部がんについても適応追加の承認を受けました。頭頸部のがん治療に画期的な選択肢の追加といえます。対象は進行がんと再発がんです。

進行がんでは「分子標的薬+放射線治療」、再発・転移がんでは「分子標的薬+化学療法」という選択肢が増えたことになります。

アービタックスと抗がん薬の併用についての臨床試験の結果、局所制御期間、全生存期間、5年生存率がともに改善されました。

また、放射線の毒性を増悪させないこと、QOL(生活の質)を悪化させないこともわかりました。

しかし、相談者のように、手術後の再発予防のための補助治療としては、まだ安全性と有効性が確立されていませんので、現時点ではお勧めすることはできません。

もし、再発をしてしまったときには、治療選択肢の1つとなりうるでしょう。

一方で、分子標的薬は非常に高額なものでもあるため、実際に用いる際には医師の話をよく聞くことが必要です。

アービタックス=一般名セツキシマブ

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