2センチの腎がん。ベストの治療法は?

回答者:中澤 速和
東京女子医科大学東医療センター 泌尿器科准教授
発行:2010年9月
更新:2013年12月

  

病院で受けた精密検査の結果、右の腎臓に2センチほどのがんが見つかりました。右の腎臓の一部を切除する部分切除を受けるつもりです。図書館などで調べてみると、開腹手術だけでなく、内視鏡を用いた鏡視下部分切除やラジオ波焼灼療法などもあるようで、迷っています。なるべく体に負担をかけずに、腎臓の機能を守る治療法を選びたいと思います。ご意見をお聞かせください。

(大分県 女性 59歳)

A 腎機能を温存できる部分切除術がよい

右の腎臓に2センチほどのがんとのことですが、腎臓のどの場所にできたかによって、手術の方法や難しさは異なります。がんが外側に突出しているときは、比較的簡単に部分切除できます。したがって、内視鏡(腹腔鏡)下で部分切除をすることは十分可能と思います。一方、がんが血管のすぐ近くにあるとか、腎臓の中に深く入っているときは、腹腔鏡で切除するのは難しくなります。腹腔鏡手術の場合、創が小さいので痛みが少なく、早く元気になります。入院期間は1週間ほど。順調なら手術後4~5日目で退院できます。

ラジオ波治療は、レントゲンで監視しながら、背中から腎臓のがんに針を直接刺してラジオ波で焼灼する治療。やはり、がんの位置や大きさによって、できる場合とできない場合があります。腫瘍の中心はよく焼灼できても、辺縁にがん細胞が残る可能性もあります。患者さんの体には負担のかからない治療ですが、まだ一般的に普及している治療ではありません。現在、高齢者とか、他の合併症があって全身麻酔ができないような方が対象となります。

ご相談者は59歳と若く、がんも2センチと早期です。腎機能を温存してきちんとがんを取り除くことが大事です。部分切除術が最もよい治療法と思われます。当センターでは腎部分切除の約7割を腹腔鏡で行っていますが、施設によって異なりますので担当医とよく相談してください。

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