腎細胞がんで手術。8年経ったが再発するか

回答者:島田 誠
昭和大学横浜市北部病院 泌尿器科教授
発行:2008年10月
更新:2013年12月

  

2000年7月、56歳のときに腎細胞がんが発見され、翌8月に手術を受けて、がんのある左側の腎臓をすべて切除してもらいました。手術後、8年ほどが経ちますが、転移・再発は認められず、それほど不自由のない生活をしています。とはいえ、転移・再発の不安がないわけではありません。とくに腎細胞がんは、ほかの多くのがんと違って、5年を過ぎても、比較的多く再発すると聞いています。私は高血圧症(上=収縮期血圧は170mmHgほど。下=拡張期血圧は110mmHgほど)と高脂血症(総コレステロール値:250mg/dlほど)にもなっているため、とくに不安です。腎細胞がんの転移や再発は、まだ起こりうると考えたほうがよいのでしょうか。高血圧症や高脂血症ががんに悪影響を及ぼすことはあるのでしょうか。また、がんの転移・再発を抑えるために、どのようなことに気をつければよいでしょうか。

(茨城県 男性 64歳)

A 10年以上経って再発することも珍しくない

多くのがんは、5年ほど再発・転移が認められなければ、治癒したと考えられますが、例外もあります。腎細胞がんはその例外の1つで、治療後、10年以上を経て再発することも珍しくありません。再発率は年数を経るほどに緩やかに減少していきますが、なかなかゼロにはなりません。

手術後8年経っても再発する可能性があるため、検査を定期的に受け続けることが必要だと思います。頻度は通常、年に1~3回ほどですが、基本的には主治医の方針に従ってください。ちなみに当院の場合、一般的には、治療から5年以内は3カ月に1回ほど胸のX線写真を撮り、5年目以降は年に1回ほどCTなどで全身の状態を検査しています。胸のX線写真を撮るのは、腎細胞がんは肺に最も多く転移するためです。

また、高血圧症や高脂血症ががんに悪影響を及ぼすことはとくにないと思います。ただし、気をつけるべきことは幾つかあります。

たとえば、腎臓を1つ切除しているために、残っている右側の腎臓に何らかの病気が起きた場合、高血圧症がその腎臓に悪影響を及ぼすこともあります。

数値を見ると、明らかな高血圧症と高脂血症です。高血圧症の原因を突き止め、高脂血症の詳細な分析をして、それぞれ適切な治療を行う必要があります。

再発を防ぐためには、無理をしないことが大切です。体を適度に動かし、睡眠を十分にとって、疲れすぎないようにしてください。

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