病理検査の結果、腫瘍の最大径は5センチほど。淡明型とはどんなタイプ?

回答者:中澤 速和
東京女子医科大学東医療センター 泌尿器科准教授
発行:2007年10月
更新:2013年12月

  

半年ほど前に、腎臓がんで手術を受けました。病理検査の結果、腫瘍の最大径は5センチほどと言われました。腎臓がんのうちの淡明型というタイプのようです。この淡明型とはどんながんなのでしょうか。再発の可能性は、どの程度なのでしょうか。再発治療についても教えてください。

(愛媛県 男性 48歳)

A 腎臓がん全体の80パーセントを占める

腎臓がんは、組織型によって、淡明型と乳頭型、嫌色素型、集合管型に分けられます。そのうち淡明型がもっとも多く、腎臓がん全体の80パーセントを占めます。世界的にそうした傾向があります。腫瘍の最大径が5センチなので、病期はT1bと推定されます。当病院の場合、T1bでしたら5~10年間の再発率は10パーセントほどです。また、治療を受けたときの症状によっても、再発率は多少異なります。血尿が出ている状態で見つかった人は、再発率が多少高くなります。一方、血尿がない状態なら、再発率は多少低くなります。両方を合わせた再発率が10パーセントと考えてください。

もう1つ、組織の悪性度も再発率に影響を与えます。悪性度はグレード1、2、3に分かれます。悪性度の高い3になると再発率が高くなります。

また、腎臓がん組織はその周囲に被膜があります。生体の防御反応で、正常細胞との境に壁のようにできます。この被膜がしっかりとできていれば、がん細胞を抑え込んでいます。被膜の状態によって、α、β、γと3つのタイプがあります。βとγのタイプだと転移する可能性が高くなります。これらのことは病理検査で調べています。担当医からお聞きできると思います。

腎臓がんはゆっくりと進むタイプが多いです。手術で5年たったから安心というわけではありません。術後10年以上たっても肺や内臓、骨に転移することがあります。ですから、半年に1回ペースで、胸とお腹のCT検査を受けるようにしてください。肺転移や内臓転移は、早期に見つけて、切除可能なら手術で取り除くことが大切です。

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