腎臓がん摘出手術後に肺転移。黄体ホルモン投与の効果は?

回答者:赤倉 功一郎
東京厚生年金病院 泌尿器科部長
発行:2005年12月
更新:2013年12月

  

3年前、腎臓がんで左の腎臓を摘出しました。1年半後に左右の肺に転移が見られるとのことで、インターフェロンの注射を2カ月間しましたが、その効果はありませんでした。そこで、インターロイキン2による治療を始めたところ、効果がありました。ところが、1年半後の今年5月、少し大きくなっていることがわかりました。今後の治療について、主治医から「黄体ホルモンを投与してみましょうか」と言います。ただ、この治療法は確立されていないようです。この治療法の是非と、これ以外の治療法を教えてください。

(東京都 女性 59歳)

A 現時点では有効性は認められず、確立された治療法ではない

腎臓がんに黄体ホルモンが有効で、副作用もあまりなかったという研究発表があります。

ただ、この研究はかなり以前のものですし、その後、その有効性を示したデータは発表されていません。残念ながら、現状では確立された治療法とは言えないと思います。

最近では、腎臓がんの再発転移の治療法として、遺伝子治療、ミニ移植(骨髄非破壊的同種造血幹細胞移植)、分子標的治療などが注目されています。

遺伝子治療とミニ移植の臨床試験は現在、日本でも行われています。臨床試験に参加することは可能かも知れません。

分子標的治療は研究段階です。治療薬(分子標的薬)が医薬品として発売されたという段階ではありません。3つとも将来性のある治療法ですが、その有効性が認められ、確立されるまでにはもう少し時間がかかると思います。

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