腎盂がんで手術後、膀胱に転移。手術以外の方法はないか

回答者:赤倉 功一郎
東京厚生年金病院 泌尿器科部長
発行:2005年12月
更新:2019年7月

  

2005年の2月に腎盂がんと診断され、右腎臓と尿管、膀胱の一部の切除手術を行いました。局所進行がんとのことで、4月から6月まで、化学療法を2クール行いました。しかし、8月の検査で膀胱に腫瘍が1つ見つかりました。あまりに早い転移に戸惑っています。これは、術後補助療法が効かなかったということなのでしょうか。今後の治療として、主治医からは内視鏡での腫瘍摘出か、悪性度が高い場合は膀胱全摘をしなければならないと言われています。できれば、膀胱を温存したいと思いますが、外科手術以外では対処法はないでしょうか。

(神奈川県 女性 49歳)

A がんの悪性度と浸潤度によって治療の選択肢は異なる

腎盂がんは、膀胱にできるがんと同じ仲間の移行性上皮がんと呼ばれて、腎臓がんとは区別されています。

腎盂に集められた尿は、尿管を通って、膀胱へと流れ込み、やがて外に出されます。腎盂にできたがんの場合、この尿の流れに沿って、尿管、膀胱へと飛ぶことがよくあります。いわゆる血行性の転移、血液の流れに乗って、例えば胃がんが肝臓に転移したりする場合とはまったく違います。

一般的に、腎盂がんが尿の流れに沿って尿管、膀胱に飛ぶ場合には、血行性転移よりも比較的予後は良好です。ただし、あなたの場合、進行性の腎盂がんのようなので、注意が必要です。

膀胱がんではがんの悪性度、つまり、おとなしいかタチが悪いかということと、がんが粘膜下層までにとどまる表在性か、筋層に食い込む浸潤性かで、治療法が異なります。表在性なら内視鏡切除が可能です。浸潤性なら膀胱全摘が標準治療です。ただし、このほかに化学療法と放射線治療の併用で膀胱を温存する治療も試みられています。

一番大切なのは、膀胱にできたがんの悪性度と浸潤度をきちんと判定してもらうことです。その診断結果をもとに、適切な治療法を選択してください。

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