腎臓がんの再発。治療法を迷っている

回答者:冨田 京一
東京大学 医学部泌尿器科医師
発行:2006年5月
更新:2013年12月

  

3年前、左右両方の腎臓にがんが見つかり、右の腎臓は全摘、左側は部分切除手術を受けました。がんは取り切ることができ、通常の生活を送っていました。しかし、先日受けた検査で、残った左側の腎臓の再発が判明し、治療は、左側腎臓摘出手術か抗がん剤治療になると言われました。摘出手術を行うと、透析を受けなければならないため、抗がん剤治療を勧められましたが、腎臓がんには抗がん剤があまり効かないと聞きました。選択を迷っています。

(岡山県 男性 58歳)

A 可能であれば部分切除を行い、それが難しい場合は腎臓摘出術を

「左側の腎臓に再発」とお書きですが、転移または局所再発の可能性があります。また、両側の腎臓にがんが発生する病気に、フォン・ヒッペル・リンドウ病という遺伝性の病気がありますが、発症年齢から考えるとご相談者はこの病気を考えにくいと思われます。

腎がんの場合、手術以外に有効な治療法がないため、フォン・ヒッペル・リンドウ病に限らず、がんを切除できる可能性がある場合は、手術をおすすめします。

このケースでは、可能であれば部分切除を行い、それが難しい場合は腎臓摘出術を勧めます。腎臓全摘を受けると、人工透析を受けることになりQOLは低下しますが、年齢および腎臓がんの予後を考えるとベターな選択です。

手術以外の治療法では、免疫療法のインターフェロンの奏効率は約20パーセント、抗がん剤のエクザール(一般名硫酸ビンブラスチン)の奏効率は約10パーセントです。5-FU(一般名フルオロウラシル)を単剤もしくはインターフェロンと併用して使用することもありますが、いずれの方法も根治できる可能性はほとんどありません。また、最近では、転移症例に対して、ペプチドワクチン療法や樹状細胞療法などが期待されていますが、現状では、再発なく5年以上過ごせる可能性を考えます。

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート11月 掲載記事更新!