C型肝炎ウイルスを取り除くことはできないか?

回答者:椎名 秀一朗
東京大学医学部付属病院 消化器内科講師
発行:2008年6月
更新:2013年10月

  

C型肝炎と診断されて、3回のインターフェロン治療を受けました。治療による副作用に耐えたおかげで、ウイルスを排除することができました。しかし、その1年半後に、2.5センチの肝細胞がんが見つかりました。開腹手術中に、肝臓に直接エコーを当て検査をしたら、小さく光るものが1つ見つかり、採って検査したところ肝細胞がんとのことでした。私のような場合、C型肝炎ウイルスを取り除くことはできないのでしょうか。また、肝細胞がんの再発防止に有効な治療法はどんなものがあるのでしょうか。今後の日常生活上で、心がけることについても教えてください。

(北海道 62歳 男性)

A ウイルス消去は約50パーセント

C型肝炎ウイルスが消失したかどうかは、インターフェロンの投与を中止してから24週間後に判定します。ですから、相談者のように、インターフェロンでウイルスがいったんは消えたものの、投与を中止してから24週間後に、残念ながら再燃するケースはあります。

インターフェロン療法は何種類もあります。最新式のペグインターフェロンとリバビリン(商品名レベトールカプセル、コペガス)の併用療法を除いた従来型のインターフェロン療法では、60~70パーセントの症例でウイルスは消えますが、そのうち3分の1ほどは再び、ウイルスが出てきます。最終的に、ウイルスを消去できるのは全体の50パーセントほどです。

相談者の過去3回のインターフェロン療法の内容がわかりませんが、最新式のペグインターフェロンとリバビリンの併用療法を受けていないようでしたら、再投与を検討してみるのがよいかと思います。

この併用療法は、55~60パーセントの確率でウイルスを消すことができると思います。

再発防止の治療法として1番よいのは、インターフェロンでウイルスを駆除する方法です。このインターフェロン療法が難しい場合は、GOTとGPTを下げて、肝臓の炎症を抑える治療を行います。具体的には、強力ネオミノファーゲンC(一般名グリチルリチン・グリシン・システイン配合剤)の注射や、ウルソ(一般名ウルソデオキシコール酸)の内服を行います。また、肝臓に溜まっている鉄分を減らすため血液を抜く瀉血療法も効果的です。

この3つの治療法をうまく組み合わせて、GOT、GPTを低く抑えることが大切です。GOT、GPTの高い患者さんに比べて、肝細胞がんの再発は低く抑えることができます。

日常生活で1番重要なことは、3~4カ月に1回のペースで、定期検診を受けることです。超音波検査や、CT検査、血液検査による腫瘍マーカーのチェックなどをしてください。

肝細胞がんは、手術後1年で20~30パーセント、5年で70~80パーセントは再発します。何年たっても再発の可能性があることを考えて、再発に備えることが必要です。

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