B型の肝細胞がんが再発。治療法の選択は?

回答者:椎名 秀一朗
東京大学医学部付属病院 消化器内科講師
発行:2008年6月
更新:2013年10月

  

60歳の父のことで、相談いたします。B型肝炎から肝細胞がんになりました。自覚症状はほとんどなかったようです。肝臓の3分の2を切除しました。しばらく、職場に復帰して働いていましたが、定期検査で、再発がわかりました。今回は、手術は行わないとのことです。B型の肝細胞がんが再発した場合には、どんな治療を選んだらよいのでしょうか。

(大分県 32歳 女性)

A 肝機能、腫瘍の大きさ、数などによって治療法を選択

B型肝炎でもC型肝炎でも、肝細胞がんや、再発した肝細胞がんの治療は基本的には同じです。相談者のお父さんのように、B型の肝細胞がんが肝臓内に再発することはかなりあります。すでに肝臓の3分の2を切除したとのことですから、肝切除はよほど肝機能がよくないと勧められません。

今回は、手術を行わないという治療選択は、ごく一般的な選択だと思います。再発した場合の治療法は、肝機能の状態や、腫瘍の大きさ、数などによって治療法が選択されます。再発した腫瘍が2~3個なら、やはり局所の根治が得られるラジオ波焼灼療法を優先的に行うべきです。

ラジオ波は、再治療がしやすく、何回でも行えるという長所もあります。再発した腫瘍が5~10個以上と多い場合には塞栓術を選択すべきかと思います。また、B型には、抗ウイルス薬のバラクルード(一般名エンテカビル)を用いた抗ウイルス療法も有効です。内服薬なので、のむだけです。基本的には、一生、のみ続けることになります。この薬でウイルスを抑えられれば、がんの再発や肝機能の悪化を抑制することができます。

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