肝細胞がん。再発予防のために効果的な治療は?

回答者:椎名 秀一朗
東京大学医学部付属病院 消化器内科講師
発行:2008年2月
更新:2013年10月

  

学生時代に交通事故で入院治療を受けました。そのときに、C型肝炎ウイルスに感染したようです。1年前に、肝細胞がんに進行していることがわかり、外科手術を受けました。担当医から「肝細胞がんは再発しやすい」との説明を受けましたが、会社の転勤もあり、手術をした病院には行けなくなりました。手術後は、飲酒を控えるようにしている程度で、何の治療も受けていません。ただ、最近、再発が気になり始めました。手術をして1年ほどですが、再発予防のために効果的な治療はないのでしょうか。私のような場合、インターフェロン療法は効果的でしょうか。

(大分県 55歳 男性)

A インターフェロン療法が効果的

今からでも十分間に合う再発予防には、インターフェロン療法が効果的だと思います。年齢も55歳と若いですから、ぜひ、受けてみてください。

インターフェロン療法の治療効果は、C型肝炎ウイルスの遺伝子型やウイルス量によって異なります。ウイルスの遺伝子型は、1型(1b)と2型(2a、2b)に分類されます。1bが約70パーセント、2aが約20パーセント、2bが約10パーセントという割合です。日本人に一番多い1型(1b)でウイルス量の多い難治性タイプでは、残念ながらウイルスが排除できる確率は45パーセントほどです。2aなら70パーセントほどの患者で効果があります。最初に、ウイルスの遺伝子型と量をチェックして、どの程度の効果が期待できるのかを調べたほうがよいと思います。なお、ウイルスが駆除できなくても、インターフェロン療法を行うことで、GOT、GPT値が正常化すれば、再発が少なくなるというデータもあります。

また、再発しても、肝機能の改善によって、治療自体に余裕が持てます。インターフェロン療法は、手術後、できるだけ早めに行ったほうがよいですが、これからでも十分間に合います。

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