肝細胞がんで、再発率の低い治療法は?

回答者:池田 公史
国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科医師
発行:2007年11月
更新:2013年11月

  

72歳の母のことでご相談です。かなり以前に、C型肝炎と診断されています。高血圧の持病もあり、本人なりに養生をしてきたようです。ところが、最近、肝細胞がんを発症していることがわかりました。腫瘍の大きさは1.5センチほどで1個とのことです。肝機能はそれほど悪くなく、症状もほとんど訴えていません。年齢のこともあり、できれば、手術以外の治療法を選んであげたいと思います。手術と手術以外の治療法では再発率は異なるのでしょうか。身体に負担がかからないで、再発率の低い治療法をアドバイスしてください。

(鳥取県 女性 44歳)

A ラジオ波熱凝固療法などの局所療法を考慮

腫瘍の大きさが1.5センチで1個、肝機能もそれほど悪くないとのことですから、手術以外の治療法として、局所療法を考慮してもよいと思います。局所療法とは、超音波で見ながら、がん結節(かたまり)に針を刺し、焼灼したり、エタノールを注入したりすることで、がんを死滅させる方法で、切除と比べてお腹を切らなくてすむため、身体に対する負担は少なく、治療後すぐに通常の生活に戻ることが可能です。

局所療法の欠点として、切除に比べて再発率が高くなることが上げられますが、治療後の生存期間は、切除と局所療法では有意な差はないという報告もあり、ご相談者のような小肝細胞がんに対する有用性が示されています。

この局所療法には、ラジオ波熱凝固療法とマイクロ波凝固療法、エタノール注入療法などがあり、なかでも1回の穿刺で2~5センチまで焼灼することが可能であるラジオ波凝固療法が現在、最もよく行われています。

ただし、この局所療法は、どんな肝細胞がんにも適応できるわけではありません。がんの存在する場所、たとえば、腫瘍が心臓に近接する場合や、腫瘍が腸管に接している場合などは、心臓や腸管への影響が懸念され、行われないこともあります。

局所療法が可能かどうかは、担当医と十分に相談されて、ご相談者に適した治療法をご検討ください。

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