肝細胞がんが再発。どんな化学療法がよいか
2000年秋に人間ドックで、肝臓に百円玉大の影が1個見つかりました。精密検査で肝細胞がんと告げられました。そのときは、手術で切除しましたが、術後1年半の定期検査で再び、肝臓に直径2センチの影が見つかりました。今度は、マイクロ波による治療をしました。その2年後、2回目の再発が発見されてラジオ波治療をしました。さらに、最近、肝臓に10個以上の腫瘍が見つかりました。3回目の再発です。次回は、化学療法を受ける予定です。化学療法には肝動注化学療法、全身化学療法があり、使用される抗がん剤もさまざまなようです。私のような治療経過を持つ場合、どんな化学療法がベターなのでしょうか。
(山形県 男性 63歳)
A がんの広がりと肝機能の程度から適切な治療選択を
化学療法のなかで、肝動注化学療法と全身化学療法のどちらがよいのかは、明らかにされていません。肝動注化学療法と全身化学療法を比較した臨床試験の報告もありますが、どちらが優れているという結論は得られませんでした。しかし、肝動注化学療法では、肝細胞がんに高濃度の抗がん剤を直接投与することができ、また、全身に広がる抗がん剤の濃度を低く抑えることができるため、全身への副作用が少なくなることが期待されます。そのため、ご相談者のように、肺やリンパ節などの他臓器に転移を認めず、がんが肝臓に限局する場合には、肝動注化学療法が選択されることが通常です。
肝細胞がんに対して保険で承認されている抗がん剤は、表に示す通りですが、どの抗がん剤が有効であるかは、明らかにされておらず、施設によって使用する抗がん剤は異なっているのが現状です。
また、肝動注化学療法として行う場合には、抗がん剤とリピオドールという油性の造影剤を混ぜて投与することもあります。このリピオドールには、がん細胞により選択的に取り込まれ、長期間とどまりやすい特徴があります。
ご相談者の肝機能の程度がわかりませんが、肝動脈化学塞栓療法という治療も検討できるのではないかと思います。
肝動脈化学塞栓療法は、足の付け根の血管からカテーテルと呼ばれる細い管を、がんが栄養をとる血管にまで挿入し、抗がん剤(通常、リピオドールと混ぜて使用)を注入し、さらにはゼラチンスポンジなどの塞栓物質でがんの栄養血管を塞栓し、がんを死滅させる治療法です。治療効果も高く、延命効果も示されており、有用な治療法です。
肝細胞がんの治療は、がんの広がりと肝機能の程度から適切な治療法を選択していますので、どういう治療を行うべきか担当医とよくご相談ください。
代謝拮抗剤 | 5-FU(一般名フルオロウラシル) |
UFT(一般名テガフール・ウラシル) | |
抗がん性抗生物質 | マイトマイシン(一般名マイトマイシンC ) |
アドリアシン(一般名塩酸ドキソルビシン) | |
ファルモルビシン*(一般名塩酸エピルビシン) | |
ノバントロン(一般名塩酸ミトキサントロン) | |
スマンクス*(一般名ジノスタチン・スチマラマー) | |
その他 | シスプラチン* (商品名アイエーコール) |