肝切除後に肺転移。化学療法を受けているが腫瘍が増大

回答者:椎名 秀一朗
東京大学医学部付属病院 消化器内科講師
発行:2005年8月
更新:2013年10月

  

2004年暮れに肝臓に2つのがんが見つかり、肝細胞がん3期と診断、切除手術を受けましたが、今年4月に肺への転移が見つかりました。しかし、増大が早いことや転移の場所などから手術では難しく、化学療法を受けています。5-FUとブリプラチン(またはランダ/一般名シスプラチン)を併用して治療を受けていましたが、最近撮った写真で「わずかに肺への転移が大きくなっている」と言われました。「このほかに効果的な抗がん剤はない」とも言われました。この抗がん剤が効いていないのではないかと非常に不安です。このまま続けてよいのでしょうか。このほかに有効な抗がん剤はありませんか。

(千葉県 68歳 女性)

A 手術での治療も視野に入れた治療選択を

肝切除後の肺転移がかなり早いのが気になります。一般的に転移性肺がんは肺の末端に存在します。ここは手術しやすい場所です。手術をためらっているのは切除をしても再発しやすいからという理由の可能性もあります。最近は、転移性肺がんを胸腔鏡下手術で行っています。2~3センチの小さな穴から胸腔鏡と手術器具を挿入して、がんを切除します。患者さんへの身体的負担が軽く、入院期間も1週間ほどですみます。この胸腔鏡下手術が可能かどうか、検討してみてください。

また、CTを用いたCTガイド下のラジオ波療法に取り組んでいる大学病院(放射線科)もあります。こうした手術が難しい場合には、全身化学療法を選択することになります。5-FUとブリプラチンの併用療法のほかベプシド(またはラステッド/一般名エトポシド)の単独投与、ブリプラチンの単独投与が有効です。すでに、5-FUとブリプラチンの併用療法を行っているとのことですから、次の抗がん剤治療としてはベプシドの投与が有効かもしれません。

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