手術は成功したが、再発が心配。再発を予防する方法は?

回答者:椎名 秀一朗
東京大学医学部付属病院 消化器内科講師
発行:2005年12月
更新:2013年10月

  

2カ月前に肝臓の検査を受けたところ、大きさが3センチと2センチの腫瘍が2個見つかり、肝臓がんと診断されました。転移はなく、肝機能も良好で、ステージは3期だということでした(C型肝炎の既往あり)。それで、肝臓の4分の1と胆嚢を切除する手術を受け、手術は成功しました。現在は定期的に検査を受けて様子を見ている状況ですが、術後の治療は必要ないのでしょうか。再発を予防する治療があれば受けたいのですが、効果は期待できますか。

(広島県 54歳 女性)

A ASTとALTを下げることで予防できることも

現時点では、肝臓がんの再発を確実に防ぐ方法は残念ながらありません。C型肝炎をベースにした肝細胞がんでは、手術を行い、がんを切除できても、5年以内に約80パーセントの人に再発が認められます。

肝切除術を受ける患者さんのがんは、多くの場合、1個ですから、ご相談者のようにがんが2個ある場合は、再発率はいっそう高くなると考えられます。

ただ、何も対策がないかというと、そうではありません。肝機能を示すAST(GOT)とALT(GPT)の値が低いほうが再発率は低いと考えられています。ウルソという内服薬や強力ネオミノファーゲンC(ネオファーゲンCなど)という注射薬はASTとALTを下げる効果があるので、再発予防を期待して試みるのも1つの方法です。

治験も行われています。1つは、インターフェロンを使ってC型の肝炎ウイルスを抑えると、再発率が下がる可能性があります。それで、インターフェロンの治験が行われています。

ほかには、グラケー(ビタミンK2剤)、あるいは非環式レチノイドという薬が再発を抑える可能性があると期待されていて、現在、大学病院など、全国30ほどの医療施設で無作為化比較試験が行われています。

治験を含め、以上のような再発予防策はありますが、ご相談者のように、定期的に経過を観察する方法が間違っているわけではありません。通常は、3~4カ月ごとに、血液検査や超音波検査、CTなどを行います。それで、もし再発が発見されたら、速やかに治療を行う。これによって、再びがんを完全に消失できる可能性は十分あります。

定期検査だけでは不安でしたら、まずはASTとALTを下げることを主治医に相談されるとよいと思います。

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