術後の再発が心配。防ぐための方法は?

回答者:森安 史典
東京医科大学 消化器内科教授
発行:2012年8月
更新:2013年10月

  

C型肝炎ウイルスが原因の肝がんを患いました。2cm以下の早期のがんであったため、がんを摘出して速やかに治療を終えることができました。しかし、肝がんは再発率が非常に高いと聞きます。術後に再発を予防するための良い方法はありませんか?

(埼玉県 男性 67歳)

A インターフェロンで、再発リスクを抑える

C型肝炎を患っていると、肝がんになるリスクは高くなります。例えばC型肝炎から初発の肝がんができる確率は1年間でおよそ7%、また肝がんの治療を終えたとしても、C型肝炎を患っていると再発する確率は年間30%にもなります。ですから、肝がんの治療において、再発の防止は非常に重要な問題となります。

予防方法の1つとして、インターフェロンという薬物を使った治療法があります。この薬はC型肝炎の原因となるウイルスを取り除きます。この薬を使い、肝炎を鎮静化させることで、がんへの移行を抑えることが期待できます。

ただし、インターフェロンを使用することで抑えられるのは、新しい腫瘍の出現であって、それ以前にできてしまった、がんになる前のいわゆる「前がん病変」が、がん化することは残念ながら抑えることはできません。現在、そういった前がん病変は手術やインターフェロンを使っても、残念ながらすべて取り除くことはできません。

そのような問題を解決するために、さまざまな研究が進んでいます。その1つに、治験の段階ですが、レチノイドと呼ばれるビタミンAの誘導体があります。この薬を使うことで、悪性の腫瘍になる前の細胞のがん化を抑える効果が期待されます。

また、今回のご相談者のような、再発リスクの非常に高い患者さんには、定期的な検診で早期発見を心がけることが大切です。目安として1カ月に1度の腫瘍マーカー、3カ月に1度の超音波検査、6カ月に1度はCTかMRIによる精密検査を行いましょう。

インターフェロン=サイトカインの1種。ウイルス増殖の阻止や細胞増殖の抑制を行う CT=コンピュータ断層撮影 MRI=核磁気共鳴画像法

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