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Ⅰ期で合併症あり。どの治療法が良いか?

回答者・坪井正博
国立がん研究センター東病院呼吸器外科長
発行:2015年5月
更新:2015年8月

  

2014年12月、肺がんⅠ期と診断されました。合併症があり、手術に及ぼす影響などを判断した上で、近々治療方針が決定される予定ですが、最適の治療法をご教示下さい。現在肺の痛みや痰が出るなどの症状はありません。喫煙歴は30年間ほどです。禁煙は15年前でした。喫煙時の1日の喫煙本数は平均30本ぐらいです。

合併症は、❶閉塞性動脈硬化症:一昨年(2013年)から5回手術。両下肢のステント留置およびバルーン留置。術後はほぼ普通の速度で歩けるようになりました。❷狭心症:一昨年4月にカテーテル手術で心臓にステントを留置。手術前後を問わず、胸が痛くなるなどの症状はありません。❸糖尿病:15年前に診断されて以降、10年間はオイグルコンを、その後5年間は種類の変遷はありますが、現在はアマリール、トラゼンタを服用。最近HbA1cは7で推移。❹高血圧:降圧薬エックスフォージを服用。最近の数値は最大(収縮期)150㎜Hg前後、最小(拡張期)85㎜Hg前後で推移。❺高脂血症や血液をサラサラにするためリピトール、バイアスピリン、プラビックス、パリエットを毎日1錠服用。❻病院の検査で、肺気腫が発覚。生活上の支障はなく、治療もしていません。以上のような状態で、どの治療法が最適でしょうか。

(65歳 男性 福岡県)

状況によっては手術を勧めるが、判断するにはもう少し情報が必要

国立がん研究センター東病院の
坪井正博さん

まず、お答えするにあたっては、もう少し情報が必要です。❶組織型❷腫瘍の大きさ❸腫瘍の位置(どの肺葉にあるか、肺の外側からどの位内側に入っているかなど)❹画像の性質(すりガラス影があるようタイプかなど)。従って、いくつか情報が不足している中でのお答えになることをあらかじめご了承下さい。

初めに色々合併症をお持ちですが、今後の治療方針を検討するにあたって1番気にかかるのが、肺気腫です。肺気腫の場合、閉塞性換気障害といって、息を吐き出す力が落ちます。そのため、吐き出す量があまりに少ないと、手術は難しくなります。また、放射線治療を行うにしても、照射による放射線肺臓炎から間質性肺炎を起こすリスクもあり、治療が難しい場合があります。

定位放射線治療で治癒を目指す場合、腫瘍の大きさは4㎝以下が目安になります。ただし放射線治療の場合、照射していない縦隔リンパ節などに再発するリスクは5人に1人位の割合であります。従って年齢を考えると、放射線治療による再発リスクを踏むよりは、手術に耐えられる全身状態(PS)であるなら、手術をお勧めします。

手術の場合、すりガラス影が半分以上占めるおとなしいタイプで腫瘍の大きさが2㎝以下であれば、血管合併症をお持ちということもあり、部分切除や区域切除といった低侵襲手術の選択も考えられます。しかし浸潤性の強いタイプだと、標準手術である肺葉切除のほうがいい場合が多いです。

とはいえ、浸潤性の強いタイプでも、合併症の状態などから、手術を手控えて切除する範囲を狭める必要があるとすれば、手術と放射線治療とでは、治療成績はそれほど大差ないかもしれません。

治療後の状態を比較すると、手術の場合、術直後に呼吸機能が低下します。また痛みが出ますし、切除範囲によっては咳、微熱が出やすくなります。ただし通常2~3カ月でよくなります。一方、放射線治療の場合、照射後に痛みや熱、ひどい咳が出ることはありません。ただし照射範囲によっては半年以上経ってから、呼吸機能が低下して息苦しさが出てくる可能性はあります。

ご相談者はⅠ期なので、局所療法主体の治療を行っていくことは間違いありませんが、合併症などを考えると、医療者としてはもう少し情報を加味して判断したいところです。以上を踏まえて、主治医の先生とよくご相談なさるとよろしいかと思います。

オイグルコン=一般名グリベンクラミド アマリール=一般名グリメピリド トラゼンタ=一般名リナグリプチン エックスフォージ=一般名バルサルタン/アムロジピンベシル酸塩配合 リピトール=一般名アトルバスタチン
バイアスピリン=一般名アスピリン プラビックス=一般名クロピドグレル パリエット=一般名ラベプラゾール 肺気腫=最近はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)と言うことが多い

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