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間質性肺炎を併発。治療法はないのか?

回答者・坪井正博
国立がん研究センター東病院呼吸器外科長
発行:2015年5月
更新:2015年8月

  

父(73歳)は数年前から間質性肺炎の治療を受けていますが、肺がんの疑いで先日、気管支内視鏡の検査を受けました。まだ結果は出ていませんが、主治医からはもし肺がんだった場合、間質性肺炎を併発しており手術はリスクが高く、抗がん薬治療も難しいとのことでした。本当に治療法はないのでしょうか。

(47歳 女性 徳島県)

治療法はあるがリスクもある。そこを理解した上で治療にチャレンジを

国立がん研究センター東病院の
坪井正博さん

間質性肺炎があると、手術、抗がん薬治療、放射線治療のいずれの治療を選択してもリスクはあります。まず手術の場合、1番死亡する理由は間質性肺炎の急性増悪で、術後に間質性肺炎が急に悪化して、呼吸不全になって死亡するケースが多いです。もともと肺の機能が弱っている場合、約10%の人が術後急性増悪になり、その半分は亡くなってしまいます。抗がん薬治療にしても、分子標的薬も含めて、間質性肺炎になる頻度は一定頻度存在し、もともと間質性肺炎がある人には使いにくくなります。また放射線治療にしても同様です。

急性増悪になってしまうと、一般にはステロイド治療を行いますが、それが効かないと、かなり状況は厳しくなります。他にも、ECMOといって人工肺をつけて一時的に肺を休ませる方法がありますが、画期的な治療法とは言えません。従って、間質性肺炎あるいはそれに関連する肺疾患を合併している場合、「こういった治療法があるけれども、こういうリスクもある」ということを十分患者さんに説明した上で、最終的にはご自身に治療法を選んでもらっています。理解していただきたいのは、「治療法は無い訳ではないが100%安全ではない」こと。そこを十分理解した上で、治療にチャレンジしていただきたいと思います。

ECMO(体外式膜型人工肺)=重症呼吸不全に陥ってしまった患者さんに対して、膜型人工肺を用いた体外循環システムにより、一時的に呼吸の補助を行い、機能障害に陥った肺の機能の回復を待つ治療法

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