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肺がんと診断されたが手術できない。治療法は?

回答者・久保田 馨
日本医科大学付属病院がん診療センター長
発行:2016年9月
更新:2016年9月

  

15年前から心疾患、4年前に心筋梗塞(後遺症なし)、3年前から糖尿病予備軍(3カ月毎に診断、投薬なし)、2年前に間質性肺炎と診断、2016年2月に肺がんと診断されました。主治医からは、外科手術はできないと言われました。現在は何ら薬も服用しておらず、経過観察中で間質性肺炎を治療するということです。丸山ワクチンの効果はありますか? 大きな病院では丸山ワクチンを接種してもらえず、クリニックでしかワクチンでの治療をしてもらえません。また、免疫チェックポイント阻害薬のオプジーボを考えているのですが、間質性肺炎を患っている人は使用することはできないのでしょうか。

(男性 神奈川県)

手術ができない理由にもよるが、治療法はある

日本医科大学付属病院がん診療
センター長の久保田 馨さん

「外科手術はできないと言われた」ということですが、その理由は何でしょうか。肺の呼吸機能が低下しているなどの理由で手術が難しいのか、それともがんが転移しているために手術が難しいのか。それによって、対応の仕方も変わってきます。

もし呼吸機能の低下などの理由で手術ができないと言われたのであれば、他の病院の呼吸器外科の専門医にセカンドオピニオンを求めるのも1つの手だと思います。手術が可能な場合もありえます。

一方、がんが転移し、病期が進んでいて手術ができないということであれば、薬物治療を考える必要があります。非小細胞肺がんであれば、間質性肺炎を合併した患者さんに対しては、パラプラチンとタキソールを組み合わせた併用治療がよく行われます。他にも、間質性肺炎を合併した非小細胞肺がん患者を対象に、パラプラチンとタキソールにアバスチンを組み合わせた臨床試験も現在行われていますので、そういった臨床試験への参加も選択肢の1つになります。

丸山ワクチンについてですが、現在有償治験という特殊な取扱いの薬です。今のところ肺がんに対して効果があるという明確なエビデンス(科学的根拠)はありません。また、オプジーボに関してですが、間質性肺炎で亡くなった方々もおり、注意すべき副作用です。これまでの間質性肺炎を引き起こす抗がん薬では、元々間質性肺炎がある人が増悪するケースが多く見られました。オプジーボではまだ十分な経験がありませんが、少なくとも治療が必要な間質性肺炎がある場合はお勧めできません。

また、オプジーボは現在のところ、抗がん薬治療を行った後に使用する薬剤です。化学療法を行っていない人に対するオプジーボの有効性や安全性は確立していません。もし病期が進んでいて手術ができず、薬物治療を考える場合には、まずは抗がん薬による治療を考えるのがよいでしょう。

オプジーボ=一般名ニボルマブ パラプラチン=一般名カルボプラチン タキソール=一般名パクリタキセル アバスチン=一般名ベバシズマブ 有償治験=希望する患者が実費を負担して行う治験のこと

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