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区域切除で1A期の肺がんは完治するか

回答者:坪井 正博
神奈川県立がんセンター 呼吸器外科
発行:2009年12月
更新:2013年11月

  

右の肺の上部にがんがあると言われました。1A期の肺がんで、がんの大きさは約1.5センチです。一般的には、右肺の上葉をすべて切除するそうですが、がんが小さいため、区域切除という縮小手術を提案されています。この手術法で十分治ると考えてよいのでしょうか。また、本などで調べてみると、病変のあたりを区域切除よりもさらに小さく切除する縮小手術もあるようですが、この方法は私に適応できないものでしょうか。

(北海道 男性 68歳)

A すりガラスも陰影であれば完治を望める

右の肺は上葉、中葉、下葉の3つの部分に分かれています。そして、肺の中では気管支、肺静脈の枝分かれから、便宜上、右を10区域、左を8区域に分けて考えています。

地図でいえば、四国、九州の単位を「葉」と考えると、「区域」は「県」に相当します。たとえば、右肺の上葉には3つの区域があり、ご相談者はこの3つの区域のうちの1つを切除(場合によっては2つの区域を切除)する手術法を提案されているのでしょう。

肺がんでは、1つの葉をすべて切除する肺葉切除、ないしはそれ以上の切除術を標準的な手術と位置付けています。これに対し、肺葉より小さく切除する手術はすべて縮小手術(切除)といいます。

「区域切除よりもさらに小さく切除する縮小手術」というのは、楔状切除のことだと思います。

楔状切除はがんのある部分を中心に文字どおり楔状に切除します。がんが肺の外側(一般的には、CT画像で肺の外側3分の1)にある場合に適応されることがあります。

区域切除、楔状切除といった縮小手術に対する評価はまだ定まっていません。しかし現時点では、CTなどの画像を診て、病変部の大半が淡い、いわゆるすりガラス陰影状で、なおかつ肺の外側にある早期がんであれば、楔状切除でも治癒する可能性は十分にあると考えられています。

区域切除であっても、楔状切除であっても、がんの断端(はし)から少なくとも1センチ、できれば2センチ離して切除することが望ましいといわれています。がんとの距離が近すぎると、再発しやすいためです。

ご相談者は区域切除を提案されていることを考えると、陰の性状としてはすりガラス陰影が多くを占めるタイプなのかもわかりません。

そうであれば、大きさが1.5センチと小さいですから、がんが肺の外側にあるのなら、楔状切除を検討することは可能です。

一般的には、すりガラス陰影の割合が多いほど、楔状切除ができる可能性は高まります。がんの位置や画像上のがんの性状などを主治医に確認して、楔状切除の可能性についてお聞きになるとよいかもしれません。

ちなみに、がんが肺の外側にあっても、「充実性」といわれる濃い陰影が多くを占める場合は縮小手術ではなく、肺葉切除が望ましい場合もあります。充実性のがんは、小さくても、リンパ節に転移している可能性が高いためです。

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