0期の肺がん。放射線治療とPDTどちらがよいか
血痰が出たため、病院を受診しました。気管支鏡検査を受けると、0期の肺がんと診断されました。がんの直径は約1センチで、がんは右肺の入口の気管支の粘膜内にとどまっているそうです。外照射の放射線治療を勧められていますが、本などを見ると、早期の肺がんにはPDT(光線力学的治療)も適用になると書かれています。主治医に聞いたところ、「当院ではPDTはやっていない」といわれましたが、PDTで治るのなら、これを受けたい気持ちもあります。放射線治療とPDTでは、どちらがより良い治療法でしょうか。
(福岡県 男性 66歳)
A PDTか放射線の気管支腔内照射が勧められる
PDT(光線力学的治療)とはレーザー治療の一種です。粘膜下の表皮内がんである0期の肺がんであれば、今では、PDTが1番多く行われていると思います。0期の肺がんのうち、気管支鏡検査でその全貌が観察できる症例に対してPDTを行うと、約95パーセントの方に治癒が期待できます。保険も適応になります。ただし、PDTはどの医療施設でも行っているわけではありません。
現在、0期の肺がんには、外科手術はほとんど行いません。ただし、内視鏡で病変部を診た際、奥のほうが確認できない場合には、手術を行うことがあります。
お勧めされた放射線を体の外から照射(外照射)する方法も確かにあります。しかし、放射線肺臓炎などの合併症を起こすことがあります。また、もし放射線がかかった範囲に新しい肺がんができても、正常部分への放射線障害の問題から再び放射線をかけることはできません。そこで、同じ放射線治療なら、放射性イリジウムという放射線源を使って気管支の中から照射(腔内照射)するオプションがあります。ただこの治療は全国でもできる施設は限られます。
PDTと気管支腔内照射では、レーザーや放射線が当たりすぎると、気管支の瘢痕狭窄(がんが治った後に気管支が狭まること)が起こることがあります。いずれの治療も実績のある施設で受けることが大切です。