肺がんの病理診断は、手術中に行うのが一般的なのか
71歳の父のことで相談です。CT(コンピュータ断層撮影装置)などで、左の肺葉に2センチほどのがんが見つかりました。近くの総合病院で、開胸手術をする予定です。肺がんの病理診断は、手術中に行うのが一般的なのでしょうか。手術中に、手術の範囲が変わることはあるのでしょうか。
(福井県 女性 43歳)
A 腫瘍が2センチ以内などの場合、診断と治療を兼ねた手術を行う
肺葉の腫瘍が2センチ以内と小さく、一部すりガラス様に見えて肺がんの疑いが強い場合には、診断と治療を兼ねた手術がすすめられます。場所が肺の外側から3分の1以内なら、肺の部分切除と術中迅速診断を行います。手術で切除して出した腫瘍を、病理医に診てもらいます。30分から1時間後に、病理診断の結果がわかります。良性なら、そこで終了です。
肺がんと診断されたときは、一般的には肺葉切除を行います。左肺の上葉の腫瘍なら、肺葉切除よりも切除範囲の小さい区域切除というオプションもあります。また、おとなしいタイプならがんを含めて肺葉の一部だけを切除する部分切除で終わることもあります。ただし、この部分切除は、現状ではエビデンス(科学的根拠)はなく、これから臨床試験に取り組みます。
ですから、術中迅速診断の結果によって、手術の範囲が変わることはあります。また、肺葉の腫瘍が2センチ以上の大きさなら、気管支鏡検査や、針生検、胸腔鏡検査で、きちんとした診断を行ってから手術を行います。