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開胸手術とラジオ波治療の、どちらがよいのか迷っている

回答者:坪井 正博
神奈川県立がんセンター 呼吸器外科
発行:2009年5月
更新:2013年11月

  

67歳の父のことで相談です。右肺上葉に1.5センチほどのがんが見つかりました。転移はないようです。開胸手術を検討していますが、ラジオ波治療もあると聞きました。ラジオ波治療は、体への負担が少ないようですが、開胸手術と比べて、治療成績はどの程度なのでしょうか。開胸手術とラジオ波治療のどちらがよいのか迷っています。

(青森県 女性 37歳)

A 手術が第1選択。手術を受けたくない場合は定位放射線療法を

がんの種類、影の形によって、手術方法は異なることがあります。肺がんには腫瘍全体が淡いすりガラス影で芯の部分だけ濃いタイプと、腫瘍全体が濃い影のあるタイプとがあります。前者のタイプに対しては、腫瘍が2センチ以下で肺の端にあれば、肺の部分切除でもよいことがあります。

後者のタイプなら、右の肺葉切除か区域切除を一般に行います。

肺葉切除と区域切除のどちらがよいのか、比較臨床試験が進行中です。結論はまだ出ていません。

ラジオ波治療は、CTで見ながら、がんの病巣に針を刺して、ラジオ波を流して、がんを焼く治療です。その治療効果はある程度わかってきています。ただ、この治療は、リンパ節転移の流れを考慮しないで行われています。ですから、治療後、間もない時期にリンパ節転移が出てくることもあります。現状では、PETとCTを組み合わせたPET-CTという新機種の正診率は80パーセントほど、CTだけなら正診率は60~70パーセントです。治療前の検査ではリンパ節転移がないと診断された場合でも、顕微鏡レベルではすでに20~30パーセント転移している可能性があることを承知していなくてはいけません。もう1つ、ラジオ波治療は、身体に針を刺すことによるリスクがあります。針を刺している最中に、血管の中に空気が入って、その空気が脳に飛んで脳梗塞と同じように、片マヒの症状を起こすことがあります。ラジオ波療法は体への負担が少ないと思われがちですが、リンパ節転移の問題や、針を刺すリスクなどがあります。ですから、ラジオ波治療を理解され、希望されているのであれば、治療に習熟した施設で行うのは1つの選択肢と思います。

67歳と若いですから、体力的、精神的に問題がなければ手術が第1選択と考えます。手術を受けたくないのでしたら、がんの診断がついた上で定位放射線療法をお勧めします。腫瘍の大きさが1.5センチほどなら、腫瘍の場所にもよりますが、定位放射線療法で良好な治療結果が得られると思います。体の外から照射する治療ですから、体への負担はラジオ波治療より少ないと考えられます。ただし、定位放射線療法の安全性と治療効果について、エビデンス(証拠)という観点からはまだ研究段階です。手術ができそうだが手術を拒否してこの治療を受けたい人と、手術ができなくてこの治療を受けたい人を集めて定位放射線治療の臨床試験が行われているので、その結果が待たれます。経済的な余裕がある方なら、標準治療ではありませんが、重粒子線治療も1つの選択肢かもわかりません。

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