CTとPETで肺に影が。確定診断の方法は?
健康診断で肺に影が見つかり、CT検査を受けたところ、やはり1センチくらいの影があり、がんの可能性もあると言われました。後日受けたPET検査でも影は見つかりましたが、がんの診断はつきませんでした。その3カ月後にも検査を受けましたが、影はあるものの大きさは最初と変わっていなく、腫瘍マーカーの値も正常でした。がんかそうでないかの判断は画像だけではできないのでしょうか。がんの診断はどのような方法で行うのでしょうか。
(三重県 男性 46歳)
A 確定診断は、病変を顕微鏡で調べてから。開胸肺生検が最も確実
がんの確定診断は、画像診断だけではできません。画像ではがんらしさの程度に差こそあれ、あくまで「がんの疑いがある」というところまでしかわからないのです。それは、最近注目されているPET検査でも同じです。
通常、肺がんの確定診断は、病巣の一部ないしは全部を採取し、顕微鏡で検査することで得られます。この検査には、主に次の3つの方法があります。
(1)気管支鏡検査……口から気管支鏡を気管支および肺に挿入し、肺の病変の一部を採取します。局所麻酔をかけて行います。
(2)肺針生検……体の表面から針をじかに刺して、病変の一部を採取します。局所麻酔をかけて行います。気管支鏡検査が困難な場合などに用います。
(3)開胸肺生検……文字どおり胸を開いて行う検査で、手術です。全身麻酔をかけて、手術室で行います。病変を全て切除して顕微鏡で調べ、がんが確定すれば、そのまま肺がんの手術に移行します。がんでないことがわかった場合は、胸を閉じます。
気管支鏡検査と肺針生検は「体外から行う検査」といえます。これらの体外から行う検査は、開胸肺生検に比べると体への負担は小さいのですが、診断の確実性は開胸肺生検に劣り、確定診断がつかないこともあります。2~3割以上の割合で、肺がんを見落としてしまう可能性があるのです。
これは、体外から行う検査では、ごく一部の組織しか採取できないため、採取した組織にたまたまがん細胞がない場合もありうるからです。ですから最近では、画像診断で肺がんの可能性がかなり高い場合は、最初から開胸肺生検を行うことが増えています。
ご相談者には、半年後にもう1度CT検査を受けられることをおすすめします。それで、もし変化がなければ、今後は1年ごとにCT検査を受けられるとよいでしょう。