肺腺がんのⅠB期。術後補助化学療法は何年?

回答者・坪井正博
横浜市立大学附属市民総合医療センター呼吸器病センター外科・化学療法部准教授
発行:2013年9月
更新:2015年2月

  

過日、父(72歳)が肺腺がん(ⅠB期・腫瘍の大きさ3.5cm)の上葉切除手術を終えました。これから、術後補助化学療法としてUFTの服用に入ると言われました。ただ、インターネットで調べたところ、服用には2年服用または1年服用があるとなっています。違いを教えてください。

(埼玉県 男性 43歳)

A 再発抑制効果が強いのは UFT 2年服用

現在の臨床現場で、エビデンス(科学的根拠)を持って使えるⅠB期非小細胞肺がんの術後補助化学療法は、UFT服用のみとなります。ただ、今まで行われた臨床試験で服用期間が異なっていたため、1年服用か2年服用かという課題はあります。

肺腺がん患者さん(74歳以下)を対象に行われた、手術だけの治療グループと術後にUFT治療を行ったグループを比較した日本で1番大きな臨床試験では、2年間服用したほうが死亡抑制効果がありました。そのため、2年服用を勧めることが多くなっています。

ただ、試験結果から2年間服用しきれた割合は試験参加者の65%前後、70歳以上(70~74歳)の患者さんに限っていえば50%に届きませんでした。

UFTの副作用には、吐き気や嘔吐、下痢、発熱、発疹、血尿、食欲不振などがありますが、体力の衰えている高齢者や腎機能障害や肝機能障害、高血圧といった併存疾患を持つ肺がん患者さんのUFT服用には、副作用が強く出る可能性があるため注意が必要となります。

前述の試験で1年間服用しきれた患者さんは、試験参加者の75%でした。1年服用では、効果がないというわけではありません。それは前述以外の2つの臨床試験の結果でも証明されています。

逆に、副作用がないからといって、2年を越え3~4年服用して効果があるというエビデンスはありません。

ですから、基本的には2年服用となりますが、体調や併存疾患を考慮しながら、副作用がつらいようでしたら、服用期間や服薬量を担当医と相談してみるのもよいと思います。

なお、腫瘍径が2cmを超えるⅠ期の肺がんに対し、術後補助療法として経口抗がん薬であるTS-1が、UFTの効果を上回る有効性があるか否かの臨床試験が行われています。したがって、現時点でTS-1はあくまでも試験治療です。

UFT=一般名テガフール・ウラシル TS-1=一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム

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