ALK遺伝子検査について知りたい

回答者・坪井正博
横浜市立大学附属市民総合医療センター呼吸器病センター外科・化学療法部准教授
発行:2013年9月
更新:2015年2月

  

父(64歳)がⅡA期腺がんと診断され手術をしました。リンパ節郭清もしました。術後補助療法も受け、経過観察中です。すでに術後6カ月が経過し、その後の検査でも今のところがんはないそうです。知人から、「EML4-ALKかどうか検査してもらうとよい」と聞きました。どういったものなのか教えてください。

(鳥取県 女性 32歳)

A 遺伝子検査は、自分の肺がんタイプを知るために大切

肺がんには、遺伝子変異によってがん細胞を限りなく増殖させるタイプがあることがわかっています。現時点で保険承認された抗がん薬と関連のある遺伝子変異は、ALK融合遺伝子とEGFR遺伝子変異の2つで、非小細胞肺がんのなかでも非扁平上皮がんにみられます。

これらの遺伝子を特定するために遺伝子検査を行います。多くの場合、ALK融合遺伝子とEGFR遺伝子変異は、確定診断時に使った組織や細胞を用いて検査を実施します。最初の治療が手術の場合は、手術時に得られた検体で行われます。すでにEGFR遺伝子変異検査を行っている場合でも、ALK融合遺伝子があるかを調べるためには再検査が必要となります。

ALK融合遺伝子が認められた場合はALK阻害薬(ザーコリ)、EGFR遺伝子変異が認められた場合はEGFR阻害薬(イレッサ・タルセバ)による分子標的薬治療を行います。

遺伝子タイプに合った薬剤投与は、無再発生存期間を2倍ほど延長する可能性もあり、副作用やQOL(生活の質)維持の点からも多く使われるようになっています。

肺がん治療では、遺伝子変異タイプを確認するなど肺がんタイプを知り、自分に合った治療を考えることが大切なことです。ただし、遺伝子検査はいつでも受けられますが、病気でない方の検査に保険は適用されません。 この患者さんのように、術後で再発をされていない方も自費となります。

今あえて検査を受ける必要はないかもわかりません。

ザーコリ=一般名クリゾチニブ イレッサ=一般名ゲフィチニブ タルセバ=一般名エルロチニブ

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