UFTとTS-1、どちらを選ぶか?

回答者・岡本浩明
横浜市立市民病院呼吸器内科・腫瘍内科部長兼科長
発行:2013年10月
更新:2019年7月

  

友人が肺腺がんのⅠB期で上葉切除手術を受けました。3.5cmの大きさでリンパ節への転移はなく、術後化学療法として、UFT(2年の服用)またはTS-1(1年の服用)を勧められ、どちらを選らぶか悩んでいるようです。副作用は違いますか?どちらが効果的ですか?

(北海道 男性 65歳)

診療ガイドラインではUFTを推奨

横浜市立市民病院呼吸器内科・
腫瘍内科部長兼科長の岡本浩明さん

日本の臨床試験の結果では、ⅠB期の肺腺がんに対して、UFTを2年間内服することで5年生存率が74%から85%まで改善することが明らかになっています。副作用は吐き気、下痢、口内炎などですが、他の抗がん薬よりも比較的軽く、日本の診療ガイドラインではUFTの内服を推奨しています。副作用なども考え、内服するかどうか主治医とよくご相談ください。

TS-1は胃がんの術後補助化学療法で有用性が証明された薬剤です。胃がん、肺がん、大腸がんなど多くのがん種で保険適用を受けています。進行肺がんでも有用性が確認されていますが、肺がんの術後補助化学療法として使用した場合に、UFTと比べて優れているかどうかは現時点で不明です。副作用はUFTと比べ消化器症状や血液毒性が増強します。

現在、日本臨床腫瘍グループ(JCOG)で、UFTとTS-1の有用性を比較する大規模な無作為化比較試験が進行中です。結果が出るまではUFTが標準治療と考えられます。

現時点では術後補助化学療法としてのTS-1は、臨床試験に参加された場合に投与すると考えたほうが良いでしょう。

UFT=一般名テガフール・ウラシル TS-1=一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム

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