抗がん薬治療を中止。今後の治療法は?

回答者・久保田 馨
日本医科大学付属病院がん診療センター長
発行:2016年3月
更新:2016年6月

  

77歳になる父のことで相談します。肺腺がんのステージⅢ(III)Aで、左肺下部に1㎝ほどの腫瘍があり、リンパ節転移もあると診断されました。遺伝子変異のないタイプです。

入院して化学放射線療法を受けることになり、抗がん薬治療(タキソール+パラプラチン)の1クール目はとくに問題なく終わったのですが、2クール目の投与開始から2日目に発熱と下痢、血圧と白血球数が低下しました。原因は腸炎だったようですが、食事がとれず、一時は歩くのもおぼつかない状態になりました。ようやく退院し、経過観察をしていますが、今後どのような治療をすればよいのでしょうか。

(50歳 女性 神奈川県)

まずは放射線治療を。オプジーボも選択肢の1つ

日本医科大学付属病院がん診療
センター長の久保田 馨さん

体力が回復した時点で、放射線治療がまだ終わっていないのであれば、完遂することが第一です。今後の治療に関しては、画像診断などの検査結果が判断材料となります。明らかな腫瘍の増大がない場合は、放射線治療終了後、抗がん薬治療は行わず、経過観察をします。

しかし、明らかに腫瘍が増大した場合は、抗がん薬治療について検討します。お父様の場合はこれまでの副作用を考慮し、細胞障害性の抗がん薬ではなく、免疫チェックポイント阻害薬のオプジーボを使ってはどうかと思います。

オプジーボは2015年12月、進行・再発の非小細胞肺がんに承認された薬です。オプジーボも免疫関連の副作用があるので、担当医とよく相談してください。

タキソール=一般名パクリタキセル パラプラチン=一般名カルボプラチン オプジーボ=一般名ニボルマブ

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