イレッサを服用したときの皮膚障害が心配

回答者・久保田 馨
日本医科大学付属病院がん診療センター長
発行:2016年3月
更新:2016年6月

  

イレッサを服用することになりましたが、私は子どものころからアトピー性皮膚炎(ダストアレルギー)です。季節の変わり目やストレスを感じたときなど足首、膝裏がかゆくなり、そのたびにステロイド外用薬を塗って対処しています。イレッサの服用によってかゆみが悪化するのではないかと心配なのですが、とくに注意することや対処法はあるのでしょうか。また、これまで何回か巻き爪になったこともあるので、爪についても注意点を教えてください。

(45歳 女性 千葉県)

皮膚障害は予防が大切。保湿などのスキンケアを

日本医科大学付属病院がん診療
センター長の久保田 馨さん

イレッサはEGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子変異陽性の場合に使用される分子標的薬です。副作用に皮疹やかゆみ、乾燥、爪囲炎(爪の周囲の発赤、腫脹、疼痛)などの皮膚障害がありますが、アトピー性皮膚炎とは発症の機序が異なります。

イレッサによる皮膚障害を起こさないためには、予防が大切です。治療開始時から保湿剤を用いてしっかり皮膚を保湿し、症状が発現したら早期から皮疹の部位のみにステロイド外用薬の塗布を積極的に行います。保湿剤は入浴、洗顔、手洗い後にたっぷり塗布するようにします。ステロイド外用薬は、顔面と体幹・四肢で強度の異なるものを使用し、症状によっても使い分けます。日常のスキンケアのポイントは、次の7項目です。

①清潔にする、保湿する、保護する
②入浴時は泡で洗う、肌をこすらない
③石鹸は低刺激性、十分洗い流す
④衣服は締め付けず、ゆったりしたものを選ぶ
⑤紫外線対策(帽子・日傘・日焼け止めSPF20程度)
⑥電気かみそりを使用(逆剃りしない)
⑦低刺激の化粧・ポイントメイクを活用

以下は、爪囲炎の予防のポイントです。

①つま先が丸く、やわらかい靴、圧迫しない靴を選ぶ
②刺激のない木綿の手袋や靴下
③足爪は四角く切る、手爪は丸く切る
④爪の清潔を保つ(石鹸の泡を爪にのせてしばらく置いた後、泡でやさしく汚れを洗浄する)

図1 チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)皮膚障害対策フロー

日本医科大学Skin care team(sCAT)

イレッサ=一般名ゲフィチニブ

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