治験情報を手早く見つける方法はないのか

回答者●久保田 馨
日本医科大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野教授
発行:2020年1月
更新:2020年1月

  

36歳の主人のことでご相談があります。2019年3月に肺がんが見つかり、背骨に転移してステージⅣと診断されました。放射線治療、パラプラチン(一般名カルボプラチン)+アリムタ(一般名ペメトレキセドナトリウム水和物)+キイトルーダ(一般名ペムブロリズマブ)の3剤併用で順調に腫瘍は縮小して、アリムタ、キイトルーダで維持療法していたものの、半年で再発。現在は2次療法のタキソテール(一般名ドセタキセル)+サイラムザ(一般名ラムシルマブ)の併用療法を始めました。

そこでご相談ですが、主治医から2次療法と並行してKRAS遺伝子異常なので、その治験を探していくという方針を告げられました。

昨今、KRAS阻害薬としてAMG510が話題になっており、治験も行われていますが、対象がG12Cであり、主人はG12D変異のため対象になりません。治験情報を手早く見つける方法やG12D治験に関しての情報はありますでしょうか。また、肺がん治療が多く行われている大学病院を一度、受診したほうがいいでしょうか。

(36歳 女性 京都府)

治験の検索サイトはいろいろある

日本医科大学大学院医学研究科
呼吸器内科学分野教授の久保田さん

治験の検索サイトとしては臨床試験登録システムUMIN-CTR(https://www.umin.ac.jp/ctr/index-j.htm)やアメリカのClinicalTrials.gov(https://clinicaltrials.gov/)があります。その他、最新医療情報を紹介する海外がん医療情報リファレンス(www.cancerit.jp)などがありますのでご参考にしてください。

KRASは数十年前からわかっていたがん遺伝子ですが、有効な薬剤がなかなか出てきませんでした。AMG510は期待される薬剤ですが、まだ治験中なので、有効性や安全性が十分わかっていません。治験参加の対象も限られていると思います。

骨転移があるとのことですので、ランマーク(一般名デノスマブ)かゾメタ(一般名ゾレドロン酸水和物)をお使いいただき骨に関連した症状がなるべく出ないようにしましょう。タキソテール(一般名ドセタキセル)+サイラムザ(一般名ラムシルマブ)の効果と副作用を評価して、効果があるようであれば継続してください。

2次療法の効果が不十分、または効果があっても増大した場合は、3次療法としてジェムザール(一般名ゲムシタビン塩酸塩)、経口TS-1(一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)、アブラキサン(パクリタキセル:アルブミン懸濁型)などが選択肢として残されています。

大学病院の受診については担当医とご相談ください。

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