術後の生活を送るうえで注意することは
5年前に非小細胞肺がんステージⅢと診断され、すぐに手術を行い、左肺を半分切除しました。その2年後、リンパ節に転移がわかり、抗がん薬治療を行いました。
現在は経過観察中ですが、時々息苦しさを感じる程度で、普通の生活が送れています。今後、どのような生活予防を行えばよいか、知りたいと思っています。
(61歳 男性 神奈川県)
A 食事、運動、睡眠、口腔ケア、そして生活に笑いを
呼吸器内科学分野教授の久保田さん
ご相談者は術後再発なさいましたが、その後の経過は良好だと思います。「今後の生活予防」、とても大切な質問です。肺がんの疫学や治療に関する知見から考えてみたいと思います。
まずは、タバコの煙を吸わないことです。喫煙はもちろん、受動喫煙も避けてください。
がん免疫に腸の働きが大切なことがわかってきました。バランスのとれた食事と共に、毎食野菜を摂りましょう。加熱調理した野菜、例えば、野菜スープなどがお勧めです。発酵食品も積極的に摂るようにしてください。
口腔内の細菌と腸の細菌も関連しています。定期的に歯科受診して口腔内清掃を行ってもらうと共に、毎朝の起き抜け、帰宅時、就寝前に歯のブラッシング、歯間ブラシ、舌ブラシを用いて口腔ケアを行いましょう。
血行や血流をよくすることもがん免疫には大切です。1日30分くらいウォーキングやラジオ体操などの運動を定期的になさることをお勧めします。
質の高い、適度な時間(7~8時間)の睡眠が大切です。カフェイン、アルコールなどが睡眠の質に悪影響を与えます。コーヒーなどのカフェインの入った飲料は、午後2時が門限と考えてください。アルコールは量を少なくして、就寝時には酔いからさめた状態にしましょう。
「笑い」の研究をしている医師は、達成感やほっとして笑う感動の笑い(eudaemonic:幸福感)が、免疫を高め健康につながるとしています。ご参考になさってください。