副作用の味覚障害が悩み。防げないか

回答者:吉田 純司
国立がん研究センター東病院 呼吸器外科医長
発行:2010年12月
更新:2013年12月

  

61歳の母のことでご相談します。1年前に非小細胞肺がん、大きさは2.5センチで1A期と診断され、右上葉を切除しました。術後に補助化学療法を勧められ、UFT(一般名テガフール・ウラシル)を飲んでいました。しかし、食欲低下が激しく、何を食べても味がわからなくなり、闘病意欲もなくなってしまいました。結局、薬は中止しましたが、今度は再発するのではないかと心配です。食欲減退や味覚障害を防ぐ副作用対策はないのでしょうか。また、UFT以外の選択肢はありませんか。

(大阪府 男性 31歳)

A 味覚障害の一因に亜鉛の不足。サプリメントで補給

味覚障害の原因の1つとして、亜鉛の不足がいわれています。最近はサプリメントとしても売られているので補ってみてはいかがでしょう。役立つ可能性はあります。

UFTは薬の形として、カプセルと顆粒の2種類があります。カプセルは薬が胃袋で溶けてしまいますが、顆粒だと小腸まで行って溶けるため、顆粒のほうが食欲が減退しにくいという説があります。もしこれまでカプセルでUFTを飲んでいたのであれば、顆粒タイプを試してみてください。

UFT以外の選択肢については、お母さんのステージですと、術後の補助化学療法として役に立つというエビデンス(科学的根拠)が出ているのはUFTしかありません。新しい薬としてTS-1がありますが、通常は副作用がもっと出やすくなります。残念ながら、UFT以外に選択肢はないと考えたほうがいいでしょう。

もっとも、術後補助化学療法は、やれば必ず再発しないという治療ではありません。どこかにがん細胞が隠れていて、それを薬で抑えられれば再発しないで済むという人は、10人に1人くらいしかいません。残りの9人は、もともとがんがないか、治療をしても効かない人です。お母さんに効くかどうかはわかりません。再発を恐れて治療をしたいという気持ちはよくわかりますが、役立つ人は少ないので、副作用がきついのであれば、無理して続けなくてもよいのではないでしょうか。

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